12月もあっという間に過ぎ去り、一年がアッという間過ぎて…とついぼやくと、患者様のお一人にそれは健康だからそう思えるんだよ、と教えていただきハッとしました。確かに一日中病床についていたら一年が長く感じられることと思います。
改めて健康に今現在を生きることを感謝して、新年を迎えることができました。
このお休み中に、延山嘉眞先生(慈恵医大)相原良子先生(あい皮膚科)共著の “酒さアトラス” という本を読み、複雑な“酒さ”の病態と治療を再確認しました。
酒さとは、頬・鼻・額に持続的に顔の紅斑・丘疹・膿疱・毛細血管拡張が特徴のある慢性的な皮膚症状ですが、皮膚バリアも低下し過度な表皮からの水分喪失が生じ、見た目のみでなく、皮膚の乾燥・知覚過敏・灼熱感などをも生じます。
皮膚のみでなく、眼の症状が主の“眼型酒さ”があり、皮膚の酒さと合併することが多いですが、20%では目の症状の方が皮膚より先行するそうです。知っておかないと分かりません。
眼型酒さでは、異物感・ヒリヒリ感・乾燥や視力障害が出現し、他覚的にも涙目・結膜炎・充血・眼瞼炎や眼瞼の毛細血管拡張・目周囲のむくみなどが見られます。
皮膚の酒さにはヒトの皮膚に寄生する毛包虫(ニキビダニ)の関与が分かっていますが、酒さ皮膚の表皮だけでなく深い真皮までも、血管内皮細胞増殖因子(VEGF)が増殖しそれにより免疫を担うT細胞の機能不全がおこり、その結果毛包虫が増えやすい状況になると考えられています。
そしてこの血管内皮細胞増殖因子により血管新生作用が生じ、酒さや毛包虫では常に紅斑が出ると思われます。
従来のステロイド外用によるものだけではなくアトピー性皮膚炎の治療薬のプロトピックの外用によるものやマスクの接触刺激によって紫外線の感受性を増やしてしまいVEGFの産生が増え、酒さの病態を悪化させるなど様々な誘因が関与していると思われます。いろいろ複雑な病態です。
まず外用の治療では、アゼライン酸・メトロニダゾール・イベルメクチン・ミノサイクリン・イオウ製剤・トラネキサム酸・オイラックスなどが挙げられますが、それぞれ刺激感や乾燥、保険外のものもある、効きが遅めなどのマイナス点もありどのように組み合わせて加療するかが難しいところです。メトロニダゾールはロゼックスゲルが保険適応で処方できます。
内服の治療では、ビブラマイシン・ミノマイシン・の従来の加療に加え、イソトレチノイン(ビタミンA・レチノイド製剤)・プラケニル(免疫調整薬)・アーチスト(β遮断薬)などの報告例もでてきていて、今後の報告が注目されます。もちろんそれぞれ副作用や保険外のものもあるため慎重さが求められます。
それぞれの方の治療歴や血管拡張の度合い・病態を判断したうえで外用や内服の副作用も考えながら治療方法を選択していきたいと思います。そしてひき続きアップデートしていきたいと思います。
12月はアトピー性皮膚炎の治療薬“イブグリース”の全国講演会が福岡であり、子供3人も合流して初めての福岡を満喫してきました。とにかく食事が美味しい!街も空港からすぐで行きやすい!
ラーメン・おすし・屋台・もつ鍋・あまおうパフェで2日間で本当に食い倒れ旅でしたが、子供3人もおそらく最後の兄弟での旅行、良い思い出になったのではないかと思います。また福岡、ぜひ行きたいと思います。
新年は義母の一年に一回のおせち料理を満喫し、いつものお正月に改めて感謝。
今年は予定では長男がようやく一人暮らしで家からいなくなり、娘たちは高3で家にいる時間も少なくなりそうなので、私も家に引きこもらないで積極的に外に出て運動や活動や勉強をしていきたいと思います。
実家近くの有料施設に入所している実母は、調子が良い時は面会時に話をあわせたり娘と分かっていなくても感じよく対応しています。調子が悪い時は、目を閉じたまま話もせず。そんなものですね……認知症。でも母が迷子にもならず、なるべく美味しい、気持ちいい、と感じる時間が少しでも多い一年であるとよいなあと思いながら今日も面会から帰ってきました。今年も面会いきたいと思います!
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