アトピー性皮膚炎の新治療 ”イブグリース” について

先週日曜日にアトピー性皮膚炎の新しい注射剤"アドトラーザ”の全国講演会があり、全国のアトピー性皮膚炎で著名な先生方のお話をききました。(佐伯秀久先生、常深祐一郎先生、乃村俊史先生、加藤則人先生、井川健先生、上出良一先生、鎌田昌洋先生、中原剛士先生、石氏陽三先生、益田浩司先生)

イブグリースはデュピクセントやアドトラーザと同じように、アトピー炎症に関与するIL13に結合しその先の炎症シグナル伝達を阻害する注射剤の薬です。

他の2剤(IL4.13を抑えるデュピクセント・IL13を抑えるアドトラーザ)との比較では、

・IL13への結合親和性が高いということ

・半減期が21日と他に比べ4倍長いこと

・初回と2回目に2本投与することより痒みや炎症を改善する効果が早く表れること

・4週目から、通常2週間ごと投与か、4週間ごとの投与か、投与間隔を選べること

と、すでにある他の2剤の足りない点をカバーできる薬剤であり、効果が期待されています。

半減期が長いことより、4週間間隔の投与でも効果が期待できることは大きな利点です。
また、デュピクセント治療時にまれに出るような顔の紅斑の副反応がほとんど見られないことは、アドトラーザにも共通であり、IL13のみ抑制するからだと考えられます。

痒みに関しては、治験で4か月目までは2週間隔の方が4週間隔よりも抑制効果が高かったそうなので、できれば4か月目までは2週間隔の投与を続け、4か月以降に2週か4週か間隔を選ぶと良いということでした。

また、初回だけでなく2回目まで2本投与するため、痒みに関してデュピクセント注射より効くのが少し早いですが、全体的な治療効果は4か月目まではデュピクセントと同じくらいであり、4か月目以降はイブグリースの方が効果が高いと報告されています。

また、万が一治療を中断したあとどれだけ効果が維持されるか、での比較でも、イブグリースが他の2剤に比べ2倍以上効果が高かったそうです。やはり半減期が長いためと考えられます。イブグリースはやめた後も効果が維持されすぐに効果が落ちないことも大きな利点です。

イブグリースが抑える、IL13は、痒みのもう一つの大きな要因であるIL31サイトカインにも関連し、アトピー性皮膚炎の"痒み過敏”の要因と考えられるため、かゆみもしっかりと抑えられることが期待できます。

とはいえまだまだ新しい薬剤ですので今後も情報を集めていきたいと思います。

 

4月が始まり、また新しい学年の始まりです。
娘たちの学校は皆大学受験をしなくてはいけないので、クラスも文理に分かれ、少しずつ高2っぽくなってきました。これから本当に大学受験のモードに徐々になってくるのかしら、まだまだ自覚が足りてない娘たちをみているとついつい口を出したくなり、今後もバトルが増えそうです……仕方ない。この1~2年は娘たちにパワーを消費されそうです。でもこれから出ていく世の中、大学受験くらいの荒波を自分の力で超えていってほしいと思います。

施設に入所している母は先月コロナに感染し、ベッド上にいることが多かったためか、足が急に弱り食欲も低下してしまいました。
今月姉一家と合同で母の誕生日会を予定していたので連れて出られるか心配でしたが、誕生日会当日の今日は幸い元気で、皆でのランチも思いのほか食べることが出来ました。孫5人も一緒に皆で祝ってもらって幸せだね。父もあの世で喜んでくれているかな。
親への心からの感謝の気持ちは、元気な時はなかなか分からず、いなくなったり弱くなってきて改めて実感します。
母も義母も1年後には元気でいるかどうか保証はない年齢ですので、改めてできる範囲で親孝行をしていきたいと思いました。

 

 

乾癬のベース治療 オテズラについて

このまま春の暖かさになってしまうのかと思うような日曜日の今日、乾癬の全身治療の内服薬 "オテズラ”の全国講演会があり、上出康二先生(和歌山 上出皮膚科)・猿渡浩先生(鹿児島 猿渡ひふ科)・五十嵐敦之先生(品川区いがらし皮膚科東五反田)のご講演をききました。

クリニックレベルではまだまだ外用のみの乾癬治療がほとんどで患者さんは現在の治療に満足しておらず、薬を塗ることによるストレスが多いというデータがあげられました。乾癬は痒みだけでなく皮膚症状の見た目から人と同じように温泉やお風呂に入れない、半袖短パンが着れないだけでなく、薬を毎日塗り続けないとすぐに同じ部位にカサカサ目立つ赤みが出てきてしまう、このストレスは医師側が思った以上に大きいものです。

それだけでなく、乾癬の炎症は皮膚のみにとどまらず、手の関節炎(乾癬性関節炎)や併発疾患として肥満・メタボ・糖尿病・心筋梗塞などが合併することがあり、"全身疾患としての乾癬”という概念が提唱され始めています。
手指の乾癬性関節炎が発症すると2年以内に関節変形が出てきてしまうため、早期発見が必要ですが、関節炎よりも乾癬の皮膚症状の方が先行するので皮膚科医の早期の治療介入が大切です。

乾癬の皮膚症状のうち、頭部や陰部に乾癬皮疹がある場合、そして手足の爪病変がある場合は関節炎合併が多いことがわかっています。特に爪病変は乾癬性関節炎の活動性と相関し、乾癬に伴う内科疾患(メタボ、心筋梗塞、糖尿病など)の関連タンパクの増加が認められていることから爪病変がある場合は、乾癬性関節炎やメタボ・代謝疾患・心筋梗塞などの全身疾患の発症に十分気を付けていかなくてはいけません。

オテズラ錠は、乾癬の炎症を引き起こす物質の産生を促す"PDE4”というたんぱく質を抑制する飲み薬で、体内で乱れた免疫バランスを整えて乾癬の炎症を抑えます。炎症をおこすたんぱく質をゼロに抑えるのではなく正常に近付ける"免疫調整薬”です。

全身治療のまずファーストステップとして、乾癬の皮膚症状を顕在化するボーダーラインを上げて症状を出しにくくする薬です。ですから、完璧を目指す薬ではないですが、全身治療の土台としてすすめられ、外用療法を軽くすることが出来ます。

具体的にはオテズラは、一日2回(最初の6日は少量を少しずつ増やします)一錠ずつ内服し、一か月の薬代は3割負担の方で約16,000円かかります。事前の検査は必要なく、光線療法との併用も可能、生ワクチンの接種制限もありません。
副作用として最初の一か月の間に下痢・吐き気や頭痛の症状が半分の方にみられますが、中止するほどでもないことがほとんどで徐々に慣れてくるようです。

乾癬の炎症は全身性に進行することがありうることが分かってきている今、全身療法を早期から考えた方がよいこと、そして全身療法の入口のファーストステップとして"オテズラ” は適しているということがわかりました。ただ完璧に炎症を抑えるというよりは"免疫調整薬”として、外用療法を軽くしたり治療を楽にする、という位置付けということが分かりました。今までのオテズラのイメージが変化し、三先生のお話はとても分かりやすくて、大変有意義なお話でした。今後の毎日の診療に生かしていきたいと思います。

 

娘たちの高1生活も終わりに近付き、今のクラスでの最後のお弁当時間として先生たちに内緒でピザ・ドーナツパーティーをするとのことで何人か分を差し入れました。"チアコママ、ピザ差し入れありがとう~!”とSNSで可愛い動画メッセージをもらい、こちらもハッピー。娘たちを通して少し青春を疑似体験できて、若さと皆の可愛さに自然にこちらまで笑顔になります。息子の時とはまた違ってやはり娘もいいものです。皆かわいく若さパワーあふれて、ピチピチです。高2となるこの春は大学受験もその先にすこし見えてきて、母娘のバトルも少し多くなるのであろうこの1年です。こちらもパワーをためて頑張りたいと思います。

実家の亡父の霊園の名義変更が無事終わり、お墓に報告してきました。実際父のお墓で話しかけると父が本当に聞いているかのように、まだまだ元気だったころの昔の父が聞いている感じがします。娘たちを愛してくれていたなあ、と良き父の姿しか思い出さず、今はしっかりと相続の資料や入所の母についてやるべきことをやっていくのをみててね、とお墓に報告してきました。
経験して初めてわかる亡き親への感謝の気持ち、忘れずに、私自身も子供に愛情を注いでいきたいと思います。

 

 

小児の食べ物アレルギー発症予防のために

メーカーさんからいただいたアレルギー雑誌(皮膚アレルギーフロンティア2023.11月号)に千葉大のテニス部の大先輩である下条先生の座談会が記載されており、小児アレルギーの専門である下条先生のお話を興味深く読みました。
(千葉大予防医学センター 下条直樹先生・中東炎遠総合医療センター 戸倉新樹先生・浜松医大 本田哲也先生)

新生児乳幼児期から、皮膚バリア機能を担うフィラグリンの遺伝子異常があるとフィラグリンが作れなくなり、皮膚の角質バリアが障害されます。するとアレルゲンが外から通過し、アレルギーの2型免疫にかかわるサイトカインが放出されてフィラグリンがさらに作られなくなり、よりバリアが障害される、という負のサイクルが回ってしまいます。
食物アレルギーでは、皮膚のバリア障害による食べ物アレルゲンの侵入が、それに対する食物アレルギーの発症につながることが分かっていて、ヨーロッパの報告ではフィラグリン遺伝子異常でピーナッツ感作からピーナッツアレルギーの発症がすすむことが分かっています。
また下条先生の研究でも皮膚に見える湿疹がなくてもフィラグリン遺伝子異常があると、卵白に対する感作率が高くなることが分かっているそうです。

腸管からの感作に関しては、腸管バリア障害を表すマーカーとして"ゾヌリン”というタンパク質があり、ゾヌリンが高いほど食べ物の感作が多いことがわかっています。つまり腸管も食物アレルギーの感作に関係していて、腸管で感作されたT細胞が皮膚に移行して皮膚炎症を悪化させる基礎研究はあるそうです。
主流は皮膚を介する経皮感作ですが、経腸管感作も食物アレルギーには関連しているということです。

また、アトピー性皮膚炎の炎症マーカーでもあるTARCの生直後の値が高い赤ちゃんほど食べ物アレルギーの発症も高いことから、アレルギーの発症自体は生まれる前から始まっていると予想されています。生まれる前から2型免疫に関わる2型サイトカインが上がっていてそれがバリア機能障害を起こすということです。

アトピー性皮膚炎の予防に関しては、生後数日から生後2か月の間の保湿剤使用により1歳でのアトピー性皮膚炎の発症率が低下すること、また、1歳半での石鹸使用頻度が少ないほどその後のアトピー発症率が上がるとの結果があり、適切な洗浄は大切であるといえます。

食べ物アレルギーの多くは小学校入学前に治りますが、下条先生の研究では小学生(1年~6年)で食べ物アレルギーが治っていない児童では、フィラグリン遺伝子異常が多いことがわかり、このことからも、皮膚バリア異常があると食物アレルギーの感作が長く続き、治りにくいことは明らかです。やはり清潔な状態での保湿スキンケアは重要であると考えます。

次に、小児の腸内環境と食べ物アレルギーの関係ですが、生直後からビフィズス菌やフラクトオリゴ糖を投与してもアレルギーの発症予防には効果なしと解析され、発症を予防するには妊婦さんの時から行う必要があるようです。
妊婦さんが摂取したオリゴ糖は妊婦の腸内でビフィズス菌や酪酸菌を増やし、酪酸菌の出す酪酸は血流にのって全身をめぐり、胎児にも影響する可能性があります。ただ、予防効果が高いということではなく、エビデンスレベルではやっても良いというということだそうです。

近年報告が増えている"食物タンパク誘発胃腸炎 FPIES エフパイス”は、摂取数時間してから激しい嘔吐など消化器症状や低血圧が生じるアレルギーですが、従来の牛乳だけでなく卵黄や大豆・ピーナッツでも起こる症例が報告されています。
欧米ではピーナッツアレルギーの予防として生後5-6か月からピーナッツを与える方がよいとされて摂取がすすんでいますが、ピーナッツを摂取後数時間で嘔吐する症例が増えているようです。日本でも卵黄のFPIESが増えているそうですが、その場合卵白から食べてもらい、1歳くらいから全卵のスクランブルエッグに進むとほとんどが卵黄も症状なく食べられていくそうです。

通常の食べ物アレルギーにおいても採血による特異的IgEが陽性だからといってその食べ物の経口摂取をやめてしまうと、その後本格的にIgEに対する感受性が亢進して即時型のアレルギーが起こりやすくなってしまいます。ですから、採血で陽性でも"食べるな”でなく摂取が可能であれば食べたほうが良いということです。感作が起こり何かの食べ物アレルゲンに対するIgEが産生されているということ、と、食べ物アレルギーの発症は違う、ということです。
皮膚の炎症をきちんと抑えると、フィラグリン遺伝子異常があっても食べ物アレルギーを発症しませんが、感作は防げません。皮膚炎症が長く続くとIgEの親和性も高くなりアレルギー発症につながりますので、乳児早期から皮膚炎症をしっかり抑えることはやはり重要です。

また乳児の卵アレルギーは、ナッツアレルギーの高リスク因子であるため、卵アレルギーの乳児はナッツも調べ、陰性ならどんどんナッツも摂取させる、陽性なら管理のもとで少しずつトライしていったほうが良いそうです。どんどん食べていきナッツに対する耐性を誘導していかないと、本格的にナッツアレルギーを発症してしまいます。

最後にビタミンDと食べ物アレルギーとの関連ですが、日本では紫外線予防の観点から乳児期にあびる紫外線が極端に少なく、母乳栄養児も多いため圧倒的にビタミンDが不足しているそうです。下条先生の研究では、ビタミンDを新生児期から投与すると、しない群に比べて卵アレルギーの発症率を3分の1に下げたそうで、アレルギー反応を抑える制御性T細胞を誘導するビタミンDは、食物アレルギーの発症予防に役立つことが考えられます。小児だけでなく、日本の若者のビタミンD不足が言われている昨今、皮膚科医による過剰な紫外線予防の啓発も考えなく直さなくてはいけないと思いました。卵黄は鮭とならびビタミンDが豊富な食材であることから、乳幼児期早期から卵黄は早くから摂取させたほうが良いようです。

 

小児アレルギーの専門である下条先生の最新の情報を教えていただき、私自身もアップデートすることが出来ました。アレルギーに関しては新しい情報の更新が多い分野です。今後も古い情報から新しく順次更新していく必要性を改めて感じました。

 

先日娘たちの保育園時代のママ友5~6人で半年ぶりに会合…6時間も喋りまくりました。10年以上親子ともども知っている仲間が集まると、子供の話のみでなく自分の話やら親の話やら話は尽きません。仕事はみなバラバラですが、カッコつけることも見栄を張ることもなく自分をさらけ出せる仲間は宝物です。歳老いていく親のことや、末には子供が間もなく旅立った後の自分たちのこと、はじめは子供経由で結びついていた友人も、子供が大きくなってくると"私”自身の価値観や考え・情・気遣いなどが自分と合致した方々……
歳により話題は変わるけれど、その人その人の雰囲気や個性や価値観は昔と変わらず、お互い学ぶこともあり自分を見直せるステキな友人たちは、今後自分たち自身がもっと年老いてきたとしてもずーっと大切な存在です。
私自身もいつ皆に会っても変わらない、穏やかな心を持てる毎日を過ごしていきたいと思います。

 

 

治りにくい結節性痒疹と多形慢性痒疹について

通常よりも温かい2月の東京ですが、汗もあまりかかずまだまだ皮膚も乾燥しやすい時期です。

通常のアトピー性皮膚炎や乾燥による湿疹、蕁麻疹にくらべ、硬い小さな結節が四肢に多発する"結節性痒疹”や、赤い丘疹のまわりに蕁麻疹のような紅斑が主に体幹に広がる"多形慢性痒疹”は、普通のステロイド外用や抗アレルギー剤内服で治りにくく、慢性化しやすい疾患です。
今月の皮膚科学会雑誌に宇賀神つかさ先生(東京医科歯科)と波多野豊先生(大分大学)の論文が掲載されていました。

様々な大学の最近の研究より、結節性痒疹にはIL4やIL31などTh2サイトカインや尋常性乾癬の病変部でも発現されるIL17も多く発現されることがわかり、乾癬様の免疫反応も関与することがわかっています。また、結節性痒疹は表皮が不規則に厚くなり、真皮に好酸球が浸潤しているのに対し、多形慢性痒疹では結節性痒疹よりも末梢血の好酸球が高値であり、早い時期から深い真皮に好酸球やリンパ球が浸潤し蕁麻疹様の紅斑がでてくるものと考えられます。

結節性痒疹では病変部で肥満細胞が増加し、ついで好酸球や好中球も増殖しており、真皮では末梢神経が肥厚かつ増生していて、免疫系かつ神経系の両方の変化から "痒くて引っ掻くとまた痒疹が悪化し痒みがより悪化する” という悪循環サイクル(itch-scratch サイクル)が生じると考えられています。また角層バリア機能が低下すると肥満細胞からヒスタミンが遊離されるため、角層バリアを低下させるような長期間のステロイド外用よりも、炎症がおさまった後はプロトピック軟膏やコレクチム軟膏など角質バリアをあげ痒みにも効果のある外用薬も有効性が報告されています。

痒疹の痒みについてもアトピー性皮膚炎と同様に、ヒスタミンに関与しない非ヒスタミン依存性経路による痒みが強い場合は、シクロスポリン内服・デュピクセント注射、JAK阻害剤内服(オルミエント、リンボック、サイバインコなど)、ミチーガ注射などが効果が期待でき、実際有効であるとの報告が多いですが、このうち保険適応があるのはデュピクセント注射のみとなります。

多形慢性痒疹の治療についても同様に、ナローバンドUVBやデュピクセント注射・ミチーガ注射などのほか、IgE抗体であるゾレア注射も有効性が報告されています。

今までは難治性だった結節性痒疹や多形慢性痒疹ですが、最近のアトピー性皮膚炎や蕁麻疹の治療の進化にともない治療コントロールが可能になってきています。保険適応はこのうちデュピクセントに限られますが今後も適応が増えてくることと思います。また情報を集めていきたいと思います。

 

相変わらず姉と分担して実家の片付けや相続税に必要な資料を集めたりしています。父のモノを片付けたりしていると、あれもしてもらった・これもしてもらった、と親から与えられた愛情を感じ感謝の気持ちでいっぱいになります。亡くなる直前の介護が大変だった日々の思いは見事に忘れ、父の良い面だけが思いよぎってきます。そんなものですね。
今は入所している母と、元気ですが一人で暮らしている義母が穏やかに毎日過ごせるようにできることをやっていくのみです。
先日、母の旧知のお仲間ご友人方がホームに面会に来てくださいました。はっきりと覚えてはいなくても昔の記憶にあったであろう心許せるご友人の温かい言葉やお話に母の顔も和み、素敵な時間を過ごすことができました。心許せるご友人、本当に有難い…
母の笑顔をみると心の許せる友人方のお気持ちって通じるものだと感じました。私も将来どうなったとしても心許す友人には変わらず会いに来てね!と伝えておきたいと思いました。
自分が経験して学ぶことはたくさんあります。親の介護や見送りも、親の認知症もやはり経験してはじめてわかることがあり、いま感じているこの思いを忘れずに周りを思いやれる人になりたいと思います。

まだまだ寒い日もあり体が縮こまりやすい冬ですが、週末は汗をかく運動を続けて体力をつけていきたいと思います。

 

 

 

 

アトピー性皮膚炎の抗体製剤 "アドトラーザ” 講演会

1月に入ってから早速様々な講演会や勉強会が行われています。先週末はアトピーの注射製剤"アドトラーザ”の発売記念講演会があり、中原先生(九州大学)・山中先生(三重大学)のご講演を聞きに行きました。

アドトラーザは、アトピー性皮膚炎の病変部と非病変部にも過剰に発現しているIL13(インターロイキン13)を抑制する抗体製剤で、2週間間隔で皮下に注射します。使い方はIL4/IL13の両方をブロックする"デュピクセント”と似ています。デュピクセントと異なることは、IL13のみに特異的に結合して働きを抑える点です。

IL13は皮膚の角質細胞の皮膚バリア機能を低下させ、抗菌タンパクも低下させ、さらに角質細胞からの炎症サイトカインの産生を増強させてアトピー性皮膚炎の炎症に大きく関与します。
IL4は主に中枢で機能するサイトカインであるのに対して、IL13は主に皮膚局所などの末梢で機能するサイトカインということがわかっています。

アトピー性皮膚炎のほぼ全例でIL13遺伝子の過剰発現が認められるのに対して、IL4はアトピー性皮膚炎の皮膚の40%に認められることがわかり、IL4は発現量は限定的と考えられます。またIL13と特異的に結合する受容体は、皮膚を掻くことによって増えることがわかっていますが、IL13はさらにこの受容体を増加させて炎症を増強させる という悪循環をつくると考えられています。

まとめると、IL13はアトピー性皮膚炎において ①皮膚バリア機能の低下 ②皮膚感染の増加 ③炎症 ④痒み ⑤皮膚の肥厚(苔癬化)を起こすと考えられています。特に炎症が長期にわたる慢性期にはIL4遺伝子の発現量が減少していくのに対して、IL13 遺伝子の発現量は慢性期にも上がり続けることが分かりました。長期にわたると皮膚が盛り上がり硬くなるいわゆる"苔癬化”の要因の一つと考えられています。

"アドトラーザ”は、長期に発現し増加し続けるIL13を抑制することで、長期に接種し続けても良い状態を継続できること、長期にわたり効果が下がらず改善率が維持されていること が特徴です。確かに最初は効果があっても長くなると効果が下がってしまう薬より、効果を維持し続けるということは重要です。

効果が持続することで、長期にわたるコントロールができること、デュピクセントに比べて結膜炎の副反応の出現が低いことが今のところ特徴です。山中先生はご使用経験から、アドトラーザは即効性(早く効く)もあるとお話されていました。

アトピー性皮膚炎すべて全例で全ての皮膚に過剰発現しているIL13にターゲットをしぼった"アドトラーザ”注射剤は今後長期にわたるコントロールに適した薬剤であると思います。また随時新しい情報を吸収していきたいと思います。

シリンジ型の注射剤を初回4本、2週間ごとに2本ずつ、腹部に皮下接種していきます。年齢は15歳以上のアトピー性皮膚炎の方に使用できます。保険が適応されますが、3割負担の方で、最初の月のみ52000円、翌月から35000円くらい注射代がかかります。また、新薬のためまだ今のところ自己注射ができず、通院で院内で打つことになります。

デュピクセントとの使い分けに関しても今後また情報を収集していきたいと思います。

 

1月もあっという間に過ぎ去ろうとしています。実家の介護生活がなくなり、自分の生活や仕事、運動に集中できる幸せを感じています。週2日のfeel cycleで汗をながし、空手も週一日だけ継続しています。 毎朝の弁当詰め(作る、というより詰めてるのみ)と仕事、睡眠と週末の運動であっという間の1週間ですが、今のところ健康でいることに本当にありがたさを感じながら野菜多めの食事と運動に留意しながら、あっという間の冬を乗り切りたいと思います。

女性誌や美容皮膚科の分野でご活躍されていた、滋賀県でご開業の美容皮膚科医 居原田麗先生が42歳の若さで今月御逝去されました。この3年ほど癌で闘病されていたことを女性美容雑誌でもご報告されていらっしゃり、ブログやインスタで闘病の様子も書かれていらっしゃいました。まじめで何より最後までとても美しく、何より闘病中も明るく前向きに、美容皮膚科の最新の分野にも、ご自身のご病気にも、4人のお子様への子育てにもまじめに真剣に生きていらっしゃり、本当に心を打たれていました。何より、本当に強く、美しいです。美しさとは見た目のみでなくその方の生き方や考えをもあらわすものだと居原田先生のSNSを拝見し今改めて思っています。もっと患者さんの美しさを上げる、その方それぞれの生き方を変える最新の美容医療情報を学び続けたかっただろうなと居原田先生の無念に思いを馳せると、私自身ももっと引き続き学んでいきたいと改めて思います。直接存じ上げませんが居原田先生を心よりお慕い申し上げます。ありがとうございました。

慢性蕁麻疹の最近の知見

年末年始は千葉の義母に家族で久しぶりに会いに行ったり、運動したり、いとこたちと新年会したりと、ゆっくりと過ごしています。

11月の皮膚科学会雑誌の慢性蕁麻疹についての最近の知見(神戸大学・織田好子先生)を読みました。慢性蕁麻疹の患者さんは臨床的にも多く、最近の知見を興味深くチェックしました。

特発性蕁麻疹のガイドラインによると、抗ヒスタミン剤2倍量・もしくは2剤併用で効果が乏しい場合は、保険適応外ですがヒスタミン2(H2)受容体拮抗薬や抗ロイコトリエン薬を、さらに効果弱い場合はゾレア注射・少量ステロイド内服・保険適応外のシクロスポリン内服などを考える、となっています。ステロイド内服は一か月以上減量や中止の目途がつかない場合は他への治療への変更を検討する必要があるとしています。

ゾレア注射は蕁麻疹症状を抑制する効果はあるが、"治癒”までの期間を短縮する効果についてはエビデンスが乏しいとされています。
ですから、ゾレアの治療効果を予測することは大切ですが、報告によると
・自己血清皮内テストが陽性 ・血清中総IgEが低値 ・好塩基球が低値 ・好酸球数低値
は治療効果が乏しい予測因子とされています。

逆に、自己血清皮内テストが陽性であり、血清中の総IgE値が低い症例は、シクロスポリンが効果的と報告されています。

次に、広島大学の高萩先生・松尾先生・坂本先生の論文”刺激誘発型の蕁麻疹”について読みました。

クリニック受診の蕁麻疹の患者さんのうち特発性蕁麻疹が80%であるのに対して、刺激誘発性蕁麻疹は18%と報告されています。

刺激誘発性は、機械性蕁麻疹・コリン性蕁麻疹・寒冷蕁麻疹・温熱蕁麻疹・日光蕁麻疹・外来物質過敏症の部分症状としての蕁麻疹、に分けられます。刺激誘発性の特徴として、通常は2時間以内に消失すること(遅延性圧蕁麻疹は除く)、毎日規則的に皮疹のみが出没するのではなく誘因に曝露したときに限って皮疹が間欠的に出現すること、が挙げられます。
治療に関しても通常の抗アレルギー剤のみでは困難で、誘因への対処が必ず必要になってきます。

遅延性圧蕁麻疹はベルトや下着の圧迫部位や掌・足底・臀部など持続的な圧がかかったあと6~8時間後に皮疹が誘発され72時間(3日間)まで続くのが特徴です。圧の誘因を避けるのみでなく、単剤の抗ヒスタミン剤では効果が乏しく抗ロイコトリエン薬(シングレア)の併用やゾレア注射の有効性も報告されています。
また、発汗や運動・辛い食事などでチリチリする強い痒みを生じるのが特徴的な"コリン性蕁麻疹”では、全身性の無汗や減汗を伴う減汗性コリン性蕁麻疹を考えることが必要です。
治療ですが、通常のコリン性蕁麻疹では抗ヒスタミン剤は40%の方しか効果が得られないといわれており、やはりゾレア注射は抗ヒスタミン剤抵抗性のコリン性蕁麻疹患者さんの70%に有効であると報告されています。減汗性コリン性蕁麻疹では、抗ヒスタミン剤の効果が乏しい症例に対して疼痛やうつ熱症状が強い場合はステロイドパルス療法が考慮されます。

慢性蕁麻疹といっても種類も原因も治療もまちまちで奥が深いものだと改めて実感し今後も新しい情報を集めていきたいと思いました。

 

母が入所し父が亡くなったあと誰もいない実家の片付けに度々行きますが、時間があるときは徒歩30分くらいかけて早ウォーキングをするようにしています。高齢者向けの身体活動ガイドラインでの推奨量を歩数に換算すると、6000歩以上になるそうです。
ウォーキングは誰にでもできる有酸素運動といわれています。FEEL CYCLE で楽しく45分の有酸素運動を、普段の生活の中で早ウォーキングでも少しでも多く有酸素を心掛けていきたいです。本当はこの上に筋トレなどの無酸素運動やヨガやストレッチなどの柔軟性運動を追加できると理想だと思いますので、今年はどちらかをまずは追加していくことを目標にしたいと思います。
また今年は専門医ポイントもまたとらないとならないため、日曜日参加できる学会をできるだけ参加し、いろいろな最新情報を集めていきたいと思います。

 

小児アトピー性皮膚炎の治療とモイゼルト軟膏・デュピクセント注射について

暖かい日が多い12月となりました。大きな学会は年末はありませんが、ウェブ講演会は引き続き今月もたくさんあり、勉強する機会はたくさんです。

先日は発売1年半以上経過したアトピー性皮膚炎の非ステロイド外用薬"モイゼルト軟膏”の大塚製薬主催の講演会で、主に小児のアトピー性皮膚炎についての講演会で、国立成育医療センターの大矢幸弘先生の講演会をききました。

生後3か月のアトピー性皮膚炎のある赤ちゃんでは食物抗原の感作を受ける危険が高くなり、皮膚の炎症が食物アレルギーに先行することがわかっています。成育医療センターにおいて生後4か月までに湿疹を発症した子を追っていくと、3歳時に食物アレルギーのリスクが上がることがわかっているそうです。

また乳児期発症のアトピー性皮膚炎の子供の6~7割は小学生までに自然に治るといわれていますが、約1割は、小学生以降も続いてしまうことが報告されており、乳児早期発症持続型としてしばらく治療が必要になります。

最近では妊娠中・授乳中の母がアレルギー食物を摂取制限しても子供の食物アレルギー発症は減らないことは周知の事実で、アトピー性皮膚炎の乳児の多くは離乳食スタート前から食物抗原に感作されています。

これらの事実から皮膚の炎症があるところから経皮的に抗原の感作が成立するとアレルギーとなり、炎症のないルートでのアレルゲン挿入(食事として摂取するなど)は免疫寛容を獲得することがわかっています。
つまり、アトピー性皮膚炎など湿疹のあるハイリスク児においては、5歳までピーナッツを除去した場合よりも、乳児期からピーナッツを摂取した方がピーナッツアレルギー発症は少なく、卵アレルギーにおいても1歳まで卵を摂らなかった群は38%が卵アレルギー発症したのに比べ、生後6か月から卵を摂った群は8%しか発症しなかったそうです。いまは早くから口から摂取した方がよいのですね。

また、乳児のアトピー性皮膚炎が出たときは皮膚の治療を受けるまでが短い方が、食物アレルギーリスクが低下することから、早期に徹底的に皮膚の治療を行うことが大切であると考えられています。

とにかく早くから加療により、皮疹ゼロの状態に寛解導入し、寛解を維持することが大切です。

モイゼルト軟膏はアトピー性皮膚炎の炎症サイトカインを抑えるのみでなく皮膚の角質バリアを強くすることがわかっており、使用制限もなく大きな副作用もないゆっくりとジワジワきいてくる外用薬です。
一見正常に見えるけれど皮下に炎症が存在するアトピー英皮膚炎のザラザラ部位にもとても有効です。小児は2歳以上から使用できますので、この季節の変わり目のアトピー性皮膚炎の悪化時からの寛解維持にはおススメです。

また、今まで15歳以上の適応であったデュピクセント注射も、生後6か月以上の乳幼児・小児アトピー性皮膚炎にも使用できるようになりました。もちろん年齢や体重により、注射の量は変わりますが、乳幼児からでも大きな副反応がなく安心して使用できる治療としてあげられます。
乳幼児にしっかりと皮疹ゼロを目指し、食物アレルギーも予防すること何より大切であり、保湿やステロイド外用に加えコレクチム軟膏・モイゼルト軟膏の選択肢が増え、デュピクセント注射剤も選べるようになり、しっかり早期に治療し、寛解維持(良い状態を保つ)を目指すことが出来るようになったことは喜ばしいことです。

 


父の葬儀も無事に終わり、今月末の納骨を待つのみですが、死後の手続きや納骨準備、葬儀参列の方への御礼などやることもナカナカです。葬儀では慕ってくれた後輩や仲間の方から生前の父の様子・家庭とは違った面を初めて聞けたりして娘として嬉しかったです。やはり家族葬であっても葬儀をきちんと行うことは大切だと実感しました。実家の片付けをしているとどうしても最後の父の介護ベッドでの生活を思い出し、さみしさ半分、でも父も満足してくれたはずという安心感半分、まだ有料施設にいる母のことも思い出し、やはり両親への感謝の気持ちがあふれてきて涙が出てきます。誰もが通る道、ですがこうして素直に両親に感謝できることも娘としては幸せであるのだと思います。思いは尽きません。

葬儀が終わり父の介護時期はできなかった、友人との会食や、空手やピラティス・FEEL CYCLE も再開し始め、自分の習い事や生活に集中できる幸せを有難く思います。

やはり健康であることは何より有難く、食事・睡眠・運動を大切にしながら多忙な年末を過ごしていきたいと思います。

 

 

最近の新しい治療薬について

暖かかった11月が本来の秋らしい気温になりあっという間に乾燥の季節になりました。
先日、といっても少し前になってしまいますが、レオファーマさんのアトピー性皮膚炎の治療薬(生物学的製剤・皮下注射剤)"アドトラーザ” についての勉強会をやっていただきました。
 生物学的製剤とは、最先端の技術により生物から産生されたタンパク質を有効成分とする薬で、体内のタンパク質を補うものや、病気の発症に関わる物質を抑えるものがあります。
 生物学的製剤はタンパク質からできているため、内服(口からのむと)すると消化酵素で分解されてしまうため、皮下や静脈への注射剤として投与します。
 アドトラーザはIL­13を抑える薬ですが、このIL13は皮膚の炎症・かゆみやバリア機能低下に関わるサイトカインで、アトピー性皮膚炎患者さんにおいて増えていることがわかっています。アドトラーザでIL13を抑えることにより、皮膚炎症やかゆみなど皮膚症状を改善させます。
具体的には腕/太もも/腹部のいずれかにシリンジ型のアドトラーザを皮下注射します。
初回が4本、2週間ごとに2本ずつを継続注射していきます。いまのところシリンジ型なので自己注射できず、来院にて注射することになります。

デュピクセントがIL4/13両方の受容体にくっついて蓋をして抑制するのに比べ、アドトラーザはIL13そのものにくっついて抑制します。
IL13の2型炎症反応を抑制し、それにより皮膚のバリア機能および微生物叢の多様性を回復させて、炎症赤み・かゆみ・皮膚肥厚を軽減すると考えられています。
 適応になる方は15歳以上で、今までの治療で効果不十分な中等度以上のアトピー性皮膚炎の患者さんとなります。薬価がまだやはり少し高く、1か月目が3割の方で約52,000円、2か月目以降が3割の方で約35,000円くらいとなります。まだまだ高額ですが、デュピクセントの副反応で起こりうる結膜炎の発症率もアドトラーザではかなり少ないようですし、選択肢の一つになるかと思いました。
また今後も情報収集をしていきたいと思います。

もう一つの新しい治療薬として、リットフーロという難治性円形脱毛症の内服薬です。

円形脱毛症の従来の内服薬"オルミエント”がアトピー性皮膚炎など他疾患にも適応がある中で、"リットフーロ”は円形脱毛症唯一に対して開発された飲み薬です。円形脱毛の炎症に関わる"JAK3”(ヤヌキナーゼ3)と"TECファミリーキナーゼ”という炎症性サイクルを阻害する内服薬で、従来の難治性・全頭型脱毛症の患者さんの脱毛面積の改善が大きく期待のできる薬です。
従来の薬が15歳から適応であったのに対し、リットフーロは12歳からの適応になり、12ー15歳の患者さまにとって朗報となります。

昨日リットフーロ発売記念講演会(坪井良治先生・大山学先生・木下美咲先生・乾重樹先生・原田和俊先生・植木理恵先生・伊藤泰介先生)がありウェブ聴講いたしましたが、幼少時期より罹患する方にとっては12歳になれば治療スタートでき、低年齢だからといって副反応(帯状疱疹や感染症)や安全性に変化がないということは喜ばしいことです。
 全頭型(100%脱毛面積)の方も多く含めた対象患者さんデータで、半年(6か月)内服で23%の方が脱毛面積20%以下へ改善、1年内服で43%の方が脱毛面積20%以下へ改善する結果は、とても期待できる薬だと思います。
坪井先生が最後に、「リットフーロは円形脱毛症唯一に開発された待望の薬なので、本日の情報を明日からの臨床に生かしながら、皮膚科医が慎重に大切に育てていきましょう」という言葉がとても印象に残りました。

 

 ずっと闘病していた実父が亡くなりました。最後まで頭はしっかりしていたのでずっと在宅医療をうけながら自宅で一人電動ベットの上で過ごしていたのでこの1~2か月は私と姉も交代で夜までもしくは一時は泊まり込みましたが、最後は父の不安も大きく5日間だけ病院に入れていただき最後は穏やかに旅立ちました。私も姉もできる範囲でやり尽くしたので後悔はありませんが、最後まで生への意欲のある父の最後の様子はとても勉強になりました。5人の孫にも会え私たち二人の娘の夫達にも最後まで良くしてもらい幸せだったと思います。
まだまだ姉も私もやることがたくさんありますが、父の希望通り祖先のもとに導かれていけますように納骨まではしっかりとやるべきことをやっていきたいと思います。
娘たちも息子も、身近な祖父が亡くなった後も一時ショックを受けたとしてもすっかり全く通常運転。もちろん当たり前ですが、若さの生命力を感じます。若いって素晴らしい。たくましい。と改めて思います。私自身も昔はそうで、母や父ももしかしたらそう思っていたのかもしれないなあと思うと自分の年齢経過を心から実感しました。

 

 

わかりにくい膠原病:皮膚筋炎について

50歳前くらいから夜洗顔後や起床時に瞼だけ赤くはれることが多く、乾燥もあるのかと年齢を実感します。
瞼が赤くはれる皮膚疾患として忘れやすい疾患が、膠原病の一つ、皮膚筋炎です。

皮膚科学会雑誌の最新号に金沢大学松下貴史先生の皮膚筋炎についての論文が掲載されていましたので改めてチェックしました。

骨格筋を障害する自己免疫性筋炎である"多発性筋炎”の中で、筋肉の症状に加え特徴的な皮膚症状を伴うものを"皮膚筋炎”と呼びます。特徴的な皮膚症状とは、
ヘリオトロープ疹:うわ瞼の紫紅色の浮腫性紅斑
ゴットロン丘疹:手指の伸側の紫~赤い丘疹
ショールサイン:背中上方~肩の紅斑と線状の掻把痕
Vサイン:首前面~胸上部の紅斑

また、筋症状としては、近位筋(体に近い方の筋肉)障害が主で、腕が挙げにくい・階段が登りにくい・椅子から立ち上がりにくい などの症状が出てくることや、筋肉自体の痛みも出てきたり、重症例では嚥下障害も伴います。
また、30%~40%に間質性肺炎を合併し咳・息切れ・呼吸困難などが現れ、一部の症例では急速進行性間質性肺炎を合併して死亡率が高くなり、早期に発見・加療が重要になってきます。

皮膚筋炎では通常の膠原病で陽性になる抗核抗体は陰性になってしまうことが多く、代わりに皮膚筋炎に特異的な抗体が近年判明してきていて、特にその抗体の種類により予後良好・間質性肺炎が急速に進行してしまうタイプ・高齢者で悪性腫瘍が合併されやすいタイプ などと特異的な抗体により早期の治療が可能になり、今までだと予後不良であった方も救命できるようになってきました。

東海大学リウマチ内科の佐藤慎二先生の記事によると、実際の臨床では、皮膚筋炎といっても筋肉症状がない方も、肺症状がない方もいて、逆に多発性筋炎の中には皮膚症状がない方、また筋肉・皮膚症状が目立たず呼吸器症状だけが出る方など、一つの症状が目立って他の症状が目立たない場合は見逃されてすり抜けてしまっている可能性もあります。一番重篤な急速な進行性間質性肺炎を見逃さないためには、必要な場合は判明してきたそれぞれ特異的な抗体を測定するなど、まず疑うことが重要です。
具体的には、若い方で明らかな原因がなく間質性肺炎を併発している場合は膠原病の可能性があり、特徴的な皮膚症状や近位筋の症状がないかどうかを問診し、必要であれば抗ARS抗体・抗MDA5抗体を測定することがすすめられます。特に抗MDA5抗体が陽性の場合は80%に急速進行性間質性肺炎が合併するため早期の強力な加療が必要となります。この予後不良な抗MDA5抗体陽性の皮膚筋炎の場合は典型的な皮膚症状に加えて、手指の内側の赤い丘疹(逆ゴットロン)や手指の皮膚潰瘍が特徴です。

このような予後不良な皮膚筋炎の症状のみでなく、通常の典型的な皮膚筋炎の皮膚症状をも皮膚科医として見逃さないことが大切だと改めて感じました。マブタの浮腫性紅斑・手指の赤い丘疹・背中や首胸の紅斑など一見見過ごしやすい皮膚症状から時には皮膚筋炎を考える必要性があると思いました。

 

2学期が始まり、高1の娘の一人は男子校の文化祭に行きまくっています。わざわざ制服のセーラー服を着ておシャレして気合い入れていく姿をみると思春期の生命力パワーを感じます。男の子と仲良くなりたい時期ですね、JK生活をenjoyしていて何よりです。
夏休みの担任面談で、家庭が100%心を許せる場であるか、心を100%許せる友人がいるか、などのアンケートの結果を先生が教えてくださり、普段知ることができない思春期の娘たちのことが少しだけわかりました。それぞれの娘たちが親の遺伝子を受け継ぎ、父・母の似ている面をそれぞれ受け継いでいるなあ、と思います。一人は友達といつもワイワイとするのが大好き、一人は友達もいるけど一人の時間がないと疲れちゃう、一人が好き。双子でも違っていて面白いです。

実家の母は施設に入所して一か月経ち、時々姉と交代で面会にいっていますが、かろうじて私たち娘たちのことはまだ分かり、行くとすこし喜んでくれます。入所前は朝にも夕方にも帰らなきゃ、と徘徊がありましたが、今は周りにスタッフの方々の目があり、それだけでも安心です。
少しずつ今の生活に慣れて穏やかな毎日になるといいと思います。
父は実家に一人ですがほとんど食べられず、唯一飲むことができる抹茶クリームフラペチーノを相変わらず姉と交代で持っていっています。終活にむけていろいろ自分のお葬式についての希望も考えるようで、その終活の様子はとても参考になります。とにかく穏やかに苦痛がないように過ごしてほしいと思います。元気いっぱい娘達を連れていくと、"その若さ生命力を少しでいいから分けてほしい” "アタシもホントにわけてあげたい”と冗談を言い合っています。本当に、アンパンマンのように少しでも分けてあげられればいいのですが、その生命力は対比的でなんともいえない気持ちになります。
人生あっという間、やりたいことをやれるうちにやったほうがいいですね…

手の美しさについて

コロナがあけて、ヒトと交流する機会や直に会う機会も多くなりました。マスクを外した今ニキビ・いぼ・ミリウムなどの治療にいらっしゃる方も増えてきました。顔と同様、人前に出やすい部位が手や指です。手が荒れていたり、爪がきれいでないと顔以上に恥ずかしい思いをすることもあります。今月の美容皮膚科雑誌”ベラペレ”の特集:ハンドケアの中で川島先生(女子医大)・古山先生(自由が丘クリニック)・金子えみさん(手のパーツモデル)のお話を読みました。

歳を重ねると、手根骨や筋組織の萎縮・皮膚が薄くなることによって手の甲に影ができたり、血管が浮き出て見えてきます。若い時の血管が見えないふっくらしたシミのない手の甲を取り戻すには、美容医療では、ヒアルロン酸注入やシミへレーザー加療も有効です。ただ手背のシミへのレーザーは炎症後色素沈着が起こりやすいため、IPL(光治療)を何回か重ねる、もしくは、ハイドロ・トレチノイン外用療法を薦める先生もいらっしゃいます。手のパーツモデルで有名な金子さんが日常で気を付けていらっしゃることは、

顔と同じくらいに、化粧水・保湿クリームをマメにつける

手が濡れたら水分をすぐ拭き、早めに保湿する

洗剤使用時のゴム手袋使用前に保湿クリームをたっぷり塗り、ポリエチレン手袋をはめてからゴム手袋をはめて密封療法を兼ねる

日焼け止めを毎日使用する

だそうです。何より継続ですね。 毎日のちょこっとの気遣いで、美しい手を目指したいていきたいと思います。

 

手湿疹のある方は、7割をしめる"刺激性接触皮膚炎”と、"アレルギー性接触皮膚炎”・"アトピー型手湿疹”に分けられます。

刺激性接触皮膚炎は物理的・化学的刺激により利き手の指先や爪周囲・手のひらなどに好発し、乾燥やカサカサした紅斑が湿疹化し、慢性化すると皮膚が厚くなり亀裂が出来たりします。夏は汗ぽうが生じ、種々の接触物質や自己汗に対する過敏反応で湿疹化していきます。冬は乾燥で皮膚バリアが低下し、経皮的に接触物質が刺激を生じやすくなります。

アレルギー性接触皮膚炎は、職業性のことが多く、美容師さんや飲食店勤務の方などは手以外に全身に広がることがあり、しっかりとした防御と治療が必要です。

アトピー型手湿疹の治療はアトピーの治療に準じますが、外用もステロイド以外に、コレクチム(JAK阻害剤)軟膏や、モイゼルト(PDE4阻害剤)軟膏、など選択肢が増え、治療しやすくなりました。

手の表皮の下の真皮の8割を占める膠原線維の間に存在する弾性線維は、紫外線により変性し"しわ”を形成します。皮膚に弾力性を与えるために真皮を良い状態を保つことが手の若さの秘訣です。
毎日の紫外線ケアとマメな保湿=地道な努力を続けていきたいと思います。

 

今月半ばに母が実家近くの施設に入居し2週間がたちました。実家には満身創痍の父が一人でいるため、実家通いは変わらずですが、父の負担が少なくなり、私と姉の気持ちの負担も少し少なくなりました。母は夕方になると帰りたいということもあるようですが、それは入所前の自宅にいるときと同じ夕暮れ症候群だと思います。基本的には機嫌のよい時は穏やかに過ごしているようですこし安心です。
私も将来娘たちの負担にならないように母のように認知といえども素直にいたい、と思います。何とか穏やかに暮らしてくれてありがたい限りです。
父は食欲が低下し、一日DAKARAをなんとか2本、ヨーグルトドリンクを1本、おかゆがわずか、の食生活ですが、唯一スタバの"抹茶クリームフラぺチーノをゆっくりと飲むことができます。貴重な322kcalです。姉と交代で週に何回か届けています。体が思うようにならない、食事があまりとれない日々を"情けない。”とこぼす姿に涙が出てきますが、その最後まで日常を続けようとする生きざまは立派です。学ぶものがあります。 とにかく穏やかに毎日過ごせますように、できる範囲でヘルプしていきたいと思います。

 

実家のことで運動時間が取れなくなると、歳のせいか腰の痛みや重さが出てきます。体力維持のためのFEEL CYCLE と最近マシンを使用するピラティスを始めました。ただただ汗をかいてすスッキリするFEEL CYCLEと違い、マシンピラティスは姿勢を意識して終わると背骨がまっすぐに修正されたような気分になります。ピラティスの先生は皆さまとてもスタイルが良く、その姿を見ているだけで気持ちが上がります。マシンを使った方が初心者にはとてもやりやすく、ピラティスはきつい、というイメージが覆りました。しばらく普段の姿勢の修正治療のために続けていきたいと思います。

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