ニキビのベピオゲル講演会や1型アレルギー検査についての講演会

今月は毎週日曜日、専門医講習会やら美容レーザーの講演会やらいろいろ勉強の休日でした。

まず、皮膚科専門医研修講習会で横市の猪又直子先生のアレルギー診断検査についてのお話をうかがいました。

1型アレルギーには大きく分けて
特異的IgE抗体検査(採血)
プリックテスト・スクラッチ試験・皮内試験(皮膚試験)
負荷試験
がありますが、採血ではそれぞれアレルギー活性を持つタンパク(アレルギーコンポーネント)を直接調べる検査も保険収載されています。

小麦アレルギーや食物依存性運動誘発アレルギー(FDEIA)の診断に有用なタンパク::ω5グリアジン
花粉×果物(食物)アレルギー症候群(口腔アレルギー症候群)::シラカバのBet v1アレルゲンと交差反応があるのが大豆のアレルギータンパクGly m4
ピーナッツアレルギー診断に有用なタンパク::Ara h2
クルミアレルギー::Jug r1
カシューナッツアレルギー::Ana o 3
ラッテクスアレルギーのうち医療用手袋などの感作で生じるラテックスフルーツ症候群::Hev b 6.02

採血検査より感受性がたかいものに専門病院で行うプリックテストがあります。皮膚に針で傷をつけてそこにアレルゲンを滴下して皮膚上でアレルギー反応を調べるものです。

化粧品や金属のパッチテストは2日間ですがプリックは15分で判定されます。ですから採血検査で陰性であっても皮膚プリックテストでより精査が出来る場合もあります。(プリック検査は大きな病院などでできる検査です)
例えば血液検査では陰性に出やすい花粉-食物アレルギー症候群の診断においても、花粉抗原と交差反応する食品や疑わしい食品を生と加熱ともにプリックテストをすることにより、生はダメだけど加熱や加工すると食べられる、といったような重要な判断が可能になります。
シラカバ・ハンノキ::桃・りんご・サクランボ・イチゴ・びわやキウイ・トマト・大豆
スギ・ヒノキ::トマト
カモガヤ・オオアワガエリ::メロン・スイカ・トマト
ブタクサ::メロン・スイカ・バナナ
ヨモギ::セロリ・キウイ・ピーナッツ
結構花粉と交差反応のある食べ物特に果物は案外多いですね。大人になって急に果物が食べられなくなった方は花粉との交差反応ででていることが多く、一度出ると除去し続ける必要があり注意が必要です。

改めて1型アレルギーの検査の概略が再確認でき有意義な時間でした。

そして昨日はマルホさん主催のニキビ特別講演会で、まい皮膚科クリニックの小林理美先生のお話をうかがいました。小林先生は抗生剤でなく耐性菌が出にくいベピオゲルを主軸として使用されています。ベピオゲルはすぐ効果が現れず、隠れている皮脂のつまり=面ぽうを取っていく薬ですので毛穴のつまりを掃除して出来にくくするもので長く継続していく必要があります。40%改善までの期間が4週間、60%改善までの期間が12週(3ヶ月)と改善はゆっくり大きくなので、まずは3ヶ月を目標に頑張って継続してもらうことが必要で、そのためには患者さんに寄り添い、継続して塗ってもらうための指導力が私たちには大切であると改めて我が身を振り返りました。
触ったときのザラザラ感をなくしスムーズな肌質に変化するまで継続していってもらう必要がありますが、そのためにはわかりやすい説明と患者さんへの励ましや寄り添いも時に必要です。その方その方にあったオーダーメイドのニキビ加療を考えて患者さんに寄り添い共感していきたいと改めて感じました。
また、ベピオゲルで以前かぶれたり赤くカサカサした方は再度使用しずらいものですが、ベピオゲルの主成分過酸化ベンゾイルのかぶれとは断定出来ず、その基剤のかぶれのこともあり、同じく過酸化ベンゾイルを含むエピデュオゲルでは全くかぶれないこともあるので、ベピオがダメな方でもエピデュオを一部塗ってみるのも一つの案としては良いようです。
エピデュオゲルは、ベピオ(過酸化ベンゾイル)とディフェリン(ビタミンA)の合剤ですが、ニキビ痕のまだ赤みが残る炎症性瘢痕には効くこともあり、保険診療では諦めていた方でもエピデュオをトライすることも薦められていました。
皮膚科医の使命として抗生剤外用のみで耐性菌を増やさず、本当に抗生剤が必要な患者さんにきちんと効くためにも、耐性菌のないベピオゲルやディフェリンゲルをどのように効果がでるまで継続してもらうか、という小林先生の熱い思いに胸がジーンとした夜でした♥

色々講演会や勉強会、家庭での私用などでヨガの時間が削られた今月ですが、久しぶりに今日筋トレピラティスとスリミングヨガを受講出来ました。動きの速いヨガのクラスではついつい追いつけないと周りの上級者を見ながらやりたくなりますが、先生にいつも"周りと比べることなく自分のペースで”と言われます。本当に、何事も、比べてないと言いつついかに周りと自分を比べてしまっているか、を感じます。周りと比べず、自分や自分の家族をも周りと比べない。比べるなら過去の自分と今の自分を比べて成長出来ていることを認めていきたいものです。ヨガも仕事も母親としても。周りと比べないように‥ そしてヨガの最後シャバーサナの後の心の平穏を"自分のパワーに、そしていつでもそこに戻って来られる強さに”という言葉のように過ごしていきたいです。

 

 

新薬について

 新年が始まり1月の冷たい風吹く本格的な冬の寒さになってきました。長い1週間の冬休みでしたので各社メーカーさんから年末に教えていただいた新薬の情報をまとめてみました。

まず、花粉症についてですが、抗IgE抗体であるオマリズマブ(ゾレア皮下注)が重度の季節性アレルギー鼻炎(花粉症)に対して承認されました。今までゾレアは難治性の喘息や難治性の慢性蕁麻疹に対して治療に用いられてきた薬剤でその効果は認められています。オマリズマブ(商品名ゾレア)とは正式にはIgEと高親和性受容体の結合を阻害する分子標的治療薬で皮下に注射する皮下注射剤です。

IgE RIST(総IgE濃度)の測定の他、スギのRAST3+以上である必要があることと、既存の治療では症状がコントロールできない理由を記載する必要があり、重症難治性の花粉症アレルギー性鼻炎に限られます。また、気管支喘息と合併する方は、ゾレアの加療により喘息症状もコントロールされてしまうため、勝手に喘息加療を中断してしまわないことが大切です。(急にゾレアを中断した場合喘息の症状が急激に悪化することもあるため喘息加療の担当医の指示なく治療内容を変更しないことが大切です。)

ゾレアは75mgと150mgのシリンジがあり、総IgE量(IgE RIST)と体重により投与量が変わります。IgE量が一番軽度(30100)の場合大人で3割負担で150mg皮下注ですが自己負担が一ヶ月13700円(4週に一回の投与)となります。

まず3ヶ月投与で効果判定しますが季節性の場合は3ヶ月でワンシーズン終了しますのでちょうど良い区切りだと思われます。

 

次に、単純ヘルペスのマルホさんのファムビル錠が再発性単純ヘルペスを8/44を一日のみ処方できるようになったことです。単純ヘルペスは再発することがありますが、まず神経節でウイルスが再活性化・増殖することで感覚異常(初期症状)が生じ、その後神経線維軸索を通って表皮に到達したウイルスが増殖し、これに宿主免疫が応答して皮膚症状が発現します。そのため、皮膚症状がウイルス増殖より遅れて発現するので抗ウイルス剤の投与は皮膚症状が出る前が望まれます。初期の感覚異常は神経節でウイルス量が増えるサインでありこの時期に薬剤が投与されれば、神経節のみでなく皮膚表面に到達したウイルス増殖を早期に抑制することが可能になります。またファムビルは短期間の投与でもウイルス感染細胞内でも長時間の効果が考えられるため、初期症状(患者さん自身の感覚異常)に基づき患者さん判断で服用を一日行う治療方法PIT療法(Patient Initiated Therapy)と言われ海外ではすでにOne day treatment としてすでに行われている治療法です。

皮膚症状が発症してしまって受診の場合は今回の発症の治療ファムビル3/1日×5日間と併せて、ファムビル8/一日×1日分を再発用に併せて処方できるようになりました。

再発性の方には次回のために持ち歩き感覚異常が出てきた時点で自己判断で内服し早期にウイルス増殖を抑制できることは朗報です。とにかく皮膚症状の出る前に内服できる点が大きいです。

 

他にも今年は新薬が出るかもしれませんので引き続き情報収集に努めたいと思います。

 

この冬休みは運動のスタジオもお休みでヨガを1回受講したくらいであとは娘たちの昼に夜に塾の弁当作りに追われました。あと少しで終わるのでどちらにしろあわずか。小学校生活もあと数えるくらいの登校日で最後の役員のおつとめで謝恩会の準備も本格的になり忙しいです‥‥が、親が関われるのも小学校まででしょうし、最後の役割と思いながら楽しむようにしています。

昨夜はヨガの先生のモダンダンスの新人戦を見にいきましたが、人の上にヒトが乗り体全体で表現していく先生の姿に驚き、未知の世界でした~知らない世界ってまだまだあるのだと。

今年はあえて目標を決めず、その場その場の出会いや自分の気持ちを大切に正直に、巡ってきたチャンスにチャレンジしていきたいと思います。

 

アトピー性皮膚炎とかゆみ

12月も半ばになり、乾燥著しい毎日で歳とともに皮膚よりかゆくなってきますので、毎日家族が寝静まった後、ヨガスタジオで習ったマッサージを手足の指先までしています。血行がよくなると保湿効果も高まり、いつもの冬より踵がましかも、と実感しています。

先日の学会で信州大学の小川英作先生のアトピー性皮膚炎のかゆみについてのお話をうかがいました。今のこの急な気温の変わり目は皮膚症状も悪化しやすく乾燥の痒みに加えてアトピーの炎症のかゆみが大きくなってしまう時期です。
アトピーの痒みはヒスタミン非依存性で神経終末からサブスタンスPが放出され痒みが強まります。
痒み神経に直接刺激するサイトカインとして代表的なものはIL31があげられますが、IL31は神経細胞刺激のみでなく表皮樹状細胞に作用して炎症を誘導することがわかっています。

また、アトピー性皮膚炎の方は、通常では感じない刺激で痒みを感じてしまう痒み過敏状態=アロネーシス、や、本来は痛みを感じる刺激でも痒みを感じてしまう状態=ハイパーネーシス を併せ持つことが多く、通常だと掻きすぎて痛くなると掻くのをストップするところを、掻きすぎて痛くなる症状でも痛みを感じず痒みとなるためにさらに掻いてしまうサイクルが回ってしまうと考えられています。ですからアトピー性皮膚炎では、痒み→搔爬→さらなる皮膚病変を伴う更なる強い痒みの悪循環(itch scratch cycle)が作られて痒みが難治化します。

さらに、健常だと神経線維は表皮真皮境界部で終わりますがアトピー性皮膚炎の方の神経線維は表皮内に伸びてさらに角層直下まで侵入し増えていることが分かっていて外的刺激を受けて痒み神経が興奮しやすい状態が考えられています。掻くことによりさらにサブスタンスPやIL33,TSLPなどが放出されさらに炎症が増強して痒みも悪化します。

現在マルホ・中外製薬で開発中の抗IL31受容体抗体(ネモリズマブ・注射剤)はアトピー性皮膚炎の痒みに対して効果が強いといわれています。

かゆみは誰でもつらいものですが特にアトピー性皮膚炎の方においては搔爬により症状がさらに悪化して痒みもさらに悪化する、という悪循環のサイクルが回ってしまうために切実です。新薬の注射剤や外用薬が処方できるようになる日が待ち遠しい限りです。

 

小6の娘たちの受験もさし迫り、最後の学校説明会やらイベントに週末ごとに参加しています。本当にご縁があった学校で、と思いますが万が一ボーダーラインになった場合に、説明会に参加した回数も女子校は大切といわれ親として後悔ないように、終末の運動やヨガの時間を泣く泣く削って参加しています。早く終わってほしい‥‥兄の時と違って下の子たちは今まで放置していた分せめてもの罪滅ぼしです。過去問をやっては合格点にいかなかったよ~、まあそんなものよ~などと全く緊張感ない受験親子です。
最近はとにかく元気で生きていれば良い、と思います。小学校最後の展覧会で“12年後の私”テーマで模型を作ったのですが、小6にもなるとほとんどの子が将来のなりたい仕事の自分を作る中、長女は“医者になっていたいです”と白衣姿の自分の模型(どの学校に決まっても中学行ったら勉強頑張れ!)。とにかく幼い次女は12年後の私は“ハワイの海でゆったりと過ごしていると思います~”とユッタリ寝転がっている模型が‥‥幼いというかあの子らしいというか‥‥家族で大爆笑です。それぞれの個性を生かして楽しい人生を送っていってほしいと思いました。

木曜日の外勤先の患者さんが、ご主人が亡くなられ、医学生の解剖実習のための献体(白菊会)から帰ってきて納骨したというお話をされていました。ようやくご遺体が帰ってきて納骨できて本当に良かった嬉しかったという話を聞くと私も学生時代行った解剖実習のありがたみを実感します。解剖で実際ヒトの体の中を見るのは皮膚科であるとあれが一生に一度で、実際見て実習した経験がいかに大切であったかと思います。長男は今度の2年生が解剖実習の学年で、白菊会や解剖実習のありがたさを今から口うるさく話しています。若い時には実感として分からなかったことが自分自身も歳をとり、親がその世代になり、いろいろなことへの有り難さを実感できるようになりました。
これからも引き続き、夫に対しては多くを求めず期待せず、子供たちに対しては人生を送る意味で大切なことを母親として口うるさく伝えていこうと思います😃

 

皮膚科専門医講習会

先週末は専門医講習会に参加し久しぶりに基礎的な病理電顕の勉強や、脱毛症・爪疾患についての講演会を聞きました。

まず、今の秋の時期に多い、休止期脱毛:急性の休止期脱毛とは、高熱・外傷・出産・急なダイエット・過大なストレスなどにより全体が休止期に移行して脱毛が増える状態ですが、休止期へのスイッチが入ってから3ヶ月後くらいに脱毛の自覚がでるのでその時点では成長期へ移行している状態です。慢性の休止期脱毛とは6ヶ月以上継続する脱毛で鉄や亜鉛欠乏・栄養失調・甲状腺機能低下症・腎肝障害・膠原病や薬剤性などが原因で生じます。また、赤ちゃんの後頭部がうすくなるのは局所がこすれるからでなく、帯状に成長期・休止期が繰り返される際に休止期に当たる帯状部位がきれいに薄くなるからだそうです。 伸びるべき毛が急に脱毛してしまうものが成長期脱毛で代表的なものは円形脱毛症です。遺伝的背景+誘因トリガー(感染症やワクチンなどの免疫寛容の破綻)が円形脱毛の原因として考えられています。ウイルス感染トリガー説ではインターフェロンαの産生が関与しているといわれています。 最後に悲しいことに回復が困難な瘢痕性脱毛症として Frontal fibrosing alopecia (FFA)とFolliculitis decalvansが有名です。前者は閉経後の女性の額から前頭部が帯状に脱毛し後退してしまうものでステロイド外用や局注でもあまり劇的な効果がみられません。後者は性別関係なくカサブタや膿疱毛包炎を周りに生じながら脱毛斑が生じるものでブドウ球菌などの関与により局所が萎縮し瘢痕化する脱毛で抗生剤内服やステロイド外用で加療します。 単なる脱毛症でもいろいろ種類も機序も多く奥が深いことを改めて実感しました。
また引き続きの学会では理化学研究所の川崎洋先生のアトピー性皮膚炎と皮膚細菌叢についてのお話を聞きました。皮膚細菌叢は腸内細菌叢とは異なり細菌が生息しにくく細菌数は少ないですが外的環境を受けやすく部位や個人間の違いにより大きく異なり、生後2ヶ月の皮膚細菌叢のパターンが1歳時のアトピー性皮膚炎発症の有無と関連している可能性があると言われています。アトピー性皮膚炎の皮膚細菌叢は単に細菌が多いというわけでもなく、病変の有無や個人により多様だと考えられていて、欧米にて行われているブリーチバス療法(漂白殺菌成分入りの浴槽にに入る療法)の効果は様々だそうです。
また最後に成育医療センターの大矢先生の小児アトピー性皮膚炎についての最新のお話をうかがいました。生後1~4ヶ月の湿疹ありの乳児は3歳時の食物アレルギーのリスクが高いと言われていてアトピー性皮膚炎の乳幼児の多くは離乳食の開始前から食物抗原に感作されていることがわかっています。経皮的に侵入して皮膚感作をおこす食物抗原が布団や家庭のホコリ中に存在することがわかっており、皮膚のバリアが低下するほど抗原感作を受けやすいと考えられます。昔の日本に比べて小児の食物アレルギーが増えている理由として離乳食のスタートが昔に比べ遅くなってきたこと、土間のない家屋が増えたり少子化になってきたり、で微生物の種類が減ってきてアレルギー反応を抑制するTreg細胞が少なくなってきていることもあげられます。酪酸・プロピオン酸・乳酸菌摂取が増えるほどアレルギー疾患が減ることも分かっており、それらの背積極的な摂取と新生児期からの保湿スキンケアが改めて重要視されています。
今後の日々更新していく最新情報を学会や講習会で少しずつ吸収していきたいと思います。

昨日は千葉大学医学部の同期会で30人くらいが集まりました。大学6年間、千葉の田舎で苦楽をともにした仲間は久しぶりに逢っても、飾らず素に戻れる大切な仲間、大学の同級生って本当にいいですね。この年になると自分の体に何が起こっても不思議ではないから、後悔ないように自分のやりたい仕事ややりたいことを楽しみましょう!と皆で誓い合いました。

ヨガもますます通っています。思った以上に体幹や奥の筋肉を使うことや体を伸ばしコリをとることの良さを実感しています。10年以上の玄人さんのようにスピード速くできず、まだまだです。でもあのヨガスタジオで何も考えずに体や呼吸に集中していくあの時間が好きなのであまり気負わず楽しく継続していきたいと思います😃

掌蹠膿疱症の新薬トレムフィアについて

先月末に掌蹠膿疱症の新薬注射剤トレムフィアの講演会があり、昭和豊洲病院 佐々木駿先生のわかりやすいお話を聞きました。
掌、足の裏の皮下にまず出来た水疱が拡大し、水疱中央に小黄色点が出現しそれが膿疱化する、という皮膚症状で他に20%の爪病変、10~30%の関節炎症状(特に胸骨鎖骨間関節痛)が出現する慢性の皮膚疾患です。扁桃炎との関連も指摘されてきましたが、扁桃自体に炎症や病変がみられなくても、扁桃の常在菌に対する免疫寛容機構が破綻しているために扁桃常在菌に対する過剰反応が生じていると考えられていて扁桃摘出が有効と言われています。新薬のトレムフィアはもともと乾癬に有効な生物学的製剤ですが最近掌蹠膿疱症に対しても有効性が承認された薬剤です。最初は月一回の間隔で打ちますが、2回目以降は2ヶ月に1回の投与で効果が認められています。

トレムフィア治療1回目の後の皮膚は手足病変部の皮がボロボロむけて水疱がなくなり、固さが少なくなり少しラクになるイメージで回を重ねるとさらに少しずつ軽快してくるそうです。
また、胸骨の痛みに対しては初回から良くなるそうで、関節症状の方が皮膚症状よりも効果が早くでるようです。
高価な薬剤ですが一回の治療で少しツルっとむけて皮膚の感覚も異なってくるため継続したいという患者さんが多いそうです。
なかなか講演会の機会も少ない掌蹠膿疱症についての最新の情報やトレムフィアの実際の印象や効果が直にうかがうことができて大変貴重な機会でした!

また品川区皮膚科医会の会ではNTT五十嵐先生より、アトピー性皮膚炎の最新の情報を教えていただきました。まず、ステロイド外用薬を弱める場合はステロイドの強さランクを下げるより外用頻度を下げる方がコントロールしやすいこと、新薬情報としては開発中の外用薬がいくつかあることを教えていただきました。大塚製薬のディファミラスト(PDE4阻害薬)軟膏は寛解期に用いるのが最適な少し臨床力は弱め、という情報が、来年にはさらにJT/鳥居薬品のコレクチム軟膏(JAK阻害剤)が処方可能の予定だということです。 アトピー性皮膚炎のプロトピック以来の久しぶりの外用薬が待ち遠しい限りです。

すっかり秋も深まり今年も残すところあと2ヶ月です。我が家の長男の大学寮生活もあと3ヶ月で、帰ってきてしまいます。あと1年くらいあっても良かったですが本人は東京大好きで待ち遠しい限りなのかな。まあ単位を落としても留年だけはせずに真面目に大学生活を送ってほしい限りです‥‥下の双子受験生たちは全く緊張感なくクラスが落ちようとも楽しく通塾していますので、何よりです。先日は受験生必須のサピックスオープンの日を私がすっかり失念しており、チューターに呆れられ‥今のところ緊張感ゼロです‥親も高くは望まず、自分たちにご縁があった学校で多感な思春期学生時代を自分に合った良い環境で過ごしていってほしいと願うばかりです。

最近、feel cycleの大好きだったインストラクターが退職された後オープンしたヨガ・ダンススタジオに行き始めました。一緒に経営されているヨガやマッサージの先生方もとても素敵な先生方で、ホイールを使ったヨガや本格的なヨガ、セルフマッサージのクラスなど、楽しく通っています。長年のfeel cycleで硬くなった体の芯のコリが徐々にほぐれて柔らかくなっていきそうな嬉しい予感が。この年になって自分の知らなかった分野に足を踏み入れることはワクワクして今後の自分の変化(身も心も)が楽しみです。

 

アトピー性皮膚炎の顔面皮疹、そしてヒルドイドクリームの有用性について

秋は講演会や勉強会の時期で毎週盛りだくさんです。アトピーの最新の注射剤デュピクセントのサノフィさんからアトピー性皮膚炎のデュピクセントに関しての講演会(アメリカのエリックローレンス先生)の要旨をいただきました。
デュピクセントで加療する重症アトピー性皮膚炎でも顔面の紅斑や皮膚症状がなかなか治りずらい場合があり、
難治性アトピー症状・アレルギー性接触皮膚炎の可能性・ステロイド外用の離脱症状の可能性などの可能性があげられます。
ですから、普段使用しているケア商品のパッチテストや患者さんのステロイド外用の使用方法を確認することが大切だとおっしゃっています。
確かに顔の紅斑や丘疹が残る場合は念のためふだん使用している化粧品やスキンケア商品をパッチテストでチェックするのも良いかと思います。
せっかく高い治療費を払ってデュピクセント注射剤で加療しても顔の皮膚症状が残るのはつらいです。
逆に顔面にずーっとステロイド外用を継続している方などは顔面のステロイド潮紅がでる場合があり、徐々にステロイドをやめていくのにデュピクセントは有効かもしれません。まだまだそれぞれのケースバイケースで考えていく必要があると思いました。

次に、ヒルドイドのマルホさんに最近話題になっていることとして、ヒルドイドソフト軟膏ではなくてヒルドイドクリームの水分量増加効果について教えていただきました。ヒルドイドクリームしか持っていない添加物のおかげで被膜形成がなされることが最近わかり、この被膜形成能により角質水分量が増加、つまりヒルドイドクリームを塗った方がより保湿力がアップする、ことがわかりました。これはヒルドイドソフトや後発品のビーソフテンクリームには見られない被膜で2剤との比較では有意性が認められました。
また、今月の日皮会誌でも川崎医大の浅沼先生らが論文を出され、ヒルドイドクリームと後発のビーソフテンクリームを比較した実験で、ヒルドイドクリームのみが基礎発汗が増え角層水分量が増加し保湿力をあげることがわかりました。

昔はヒルドイドクリームは臭いがするため避けられ傾向でしたが数年前に臭いがなくなり、急に使いやすくなりました。
ヒルドイドソフトに比べるとベタベタせずにより使用しやすくなりました。これから急に乾燥がひどくなり、ローションよりはヒルドイドクリームが使いやすさや保湿力からして良いかもしれません。被膜を有するため衣服へつきにくく朝でもいつでも塗りやすいかと思いました。

今週は掌蹠膿疱症の新薬注射剤トレムフィアの講演会もありますのでまた詳しい先生方の臨床経験をうかがってきたいと思います。

昨日貴重な日曜日には専門医のポイント講習を受けに金沢まで日帰りで行き帰りしてきました。ずーっと新幹線の道中、学会会場でも全く動かず久しぶりの運動不足の日曜日。でも新幹線往復5時間でスマホを控えて普段読まないヨガの本や皮膚科の雑誌を読めました。
夜は橋本徹弁護士が高学歴ニートに対しての授業をするテレビ番組をたまたま見ていました。いつ死んでも悔いないように何事にも“燃焼”!という言葉に久しぶりに元気をもらいました。25歳から今の橋本さんの50歳までの黄金の時代はいくらお金を積んでも買うことが出来ない!それを君たちは持ってるんだからその時期=宝をぜひ燃焼してほしい!というメッセージが若者に少しでも届いたのでは‥。
確かに過去と今を比べると年齢の経過を実感しますが、逆にこの先の50歳までの3年間を私も燃焼しなきゃ!と元気をもらいました。
話が上手でわかりやすいのはさすがです。とても素敵な授業でした。

髪の毛の加齢変化について

週末、大学テニス部同期の仲間の一人が他大学の教授に就任したお祝いにかこつけて同期10人で集まりました。皆昔に戻り変わらないのですが、話題はいろいろ自分たちの薄毛やシミの話に。男性女性問わず、昔を知っているとみな遠慮なく薄くなった~?と。
男性型脱毛症(AGA)は遺伝とホルモンが関わり、なかなか発症を予防はできにくいですが、今はフィナステリドやザ・ガーロなど効果的な内服もあり治療が可能です。

弱い男性ホルモンであるテストステロンを強力な男性ホルモンDHTに変える時に必要な酵素を一個阻害するのがフィナステリドで、2個阻害するのがザガーロです。見かけ上少し変化がでるまで最低6ヶ月は内服が必要になりますが1年内服で半数以上が改善、3年間で78%が改善という良い結果が発売当初から出ています。(ザガーロはさらに少し有効)
副作用はザガーロの方が性腺機能低下の割合が多くなっています(フィナステリド 勃起不全0.7%  ザガーロ 勃起不全 10%)。

また、皮脂は毛の成長を阻害するといわれやすいですが、AGAの男性とAGAではない男性の頭皮皮脂量に差はないことが分かっています。ただ皮脂の多い部位に見られる脂漏性皮膚炎の炎症が強いとAGAは重症化しやすいといわれていますので、炎症のない健やかな頭皮を保つことは大切です。食事の面からも,毛の材料となる良質なタンパク質はもちろん、鉄分や亜鉛なども不足しないように心がけます。

女性も同様に、加齢に伴う薄毛や男性型脱毛症が生じます。リアップなどのミノキシジル外用は日本でもできますが、日本で女性に認可されている内服はなく男性に比べると治療が限られます。また、更年期の女性の前頭部生え際~耳前部にかけて帯状に抜けてしまう毛孔性扁平苔癬がまれに発症し、回復が困難な瘢痕性脱毛症のひとつです。この場合悲しいことに有効な薬はありません。
頭頂部の薄毛、気になります、とても。シャンプーを使いすぎず、あまり考えすぎず、リアップ時々つけつつ。

補足ですが、皮膚科フットケア外来で有名な医科歯科大学の高山かおる先生の本を読み、正しい歩き方を再確認しました。
1.かかとで着地 2.重心を足の第5指のつけ根に移動 3.重心を第1指のつけ根に移動させて地面を蹴り上げる
かかと、親指つけ根、小指つけ根の3点は3つの大事なアーチの基本でこの3点に体を支えることで足に負担をかけずに歩きます。体は、腰を反らさず、胸を軽く張り、頭を糸で引き上げられる感覚で顎を軽く引き、臍から脚を前に出す感覚で歩きます。
何事も体の体幹です。

ヒールやかかとの高い靴をが多いとかかとが不安定になり、前方でバランスをとろうと重心が前に移動し、前方の前アーチに無理な負担がかかりアーチが崩れてきます。開張足といって足裏の前方に重心が移動しアーチがなくなり扁平気味になりタコやウオノメができ、靴の横幅がきつく感じてくるのは思い当たります‥‥原因は間違った歩きぐせ、運動不足による足裏筋力の低下、肥満による負荷の増大、靴の形などなど。
確かにヨガの時にかかとアップ、体幹はできていると思っても足がぐらつくことが多く、足の裏の筋力不足を実感します。とにかく、足の裏の三点を支える3つのアーチ、大切だな、鍛えたいなと再確認できました。
ちなみに、筋肉をほぐし足の指の筋力を鍛えるには、ゴルフボールを足裏でコロコロ転がしたり足指で握るような運動も効果的ですし、松藤文男(フットケアドバイザー)さんの考案したコンフォートサポートソックスという靴下も効果的だそうです。一見普通の5本指靴下に思えますが特殊な織り方をした矯正ソックスで足首まわりや足の裏のアーチをサポートする機能があるそうです。
自分の足でいつまでも姿勢正しく歩き健康を保ちたいものです、それには歩くときの重心のかける順番(かかと、外側、第5指つけね、第1指つけね)と足の裏の3本のアーチの意識、歩行時の体幹の意識など、毎日の心がけが大切と改めて学びました😃

毎日の仕事では通勤時間しか動かず、運動の時間がとれないと腰の痛みを実感するようになりました。ヨガやサイクルや体幹トレーニングはなくてはならないもので、出来ないとすべて体も肌も不調になるような気がします。ただ若い時と違い、けがをしたら運動自体できないのでとにかくけがをしないよう、無理ない範囲で、を心がけています。

小6の娘たちは模試や受験校説明会やらすっかりそれらしくなってきました。二人で塾の拘束時間だけは長いですが、相変わらず偏差値は超低空飛行ですが親も全く動じず、本人たちも全く動じず、それ相応の合う学校にきまってくれればと願います。夜遅いとさすがに迎えにいく私も、本人たちも疲れますが、時々疲れたね~、とギューっと抱きしめてあげます。小学校の担任イケメン先生がいつも、面談のたびにお母さん、帰ったら必ずぎゅーっとハグしてあげてください!と言ってくださいます。なんて良いことを言う先生でしょう😃高学年になるとなかなかハグ、しなくなってきます、でもまだまだウチは二人だからか、幼いからか、女子だからか、ハグすると素直にややにっこり。何歳までできるかな~😃



 

 

夏に多い皮膚感染症

猛暑が毎日続いた8月も折り返し点が過ぎ、時間により暑くなくなってきた?とも思うこの数日です。ただまだまだ暑く、子供を中心に皮膚感染症がまだまだ流行るこの時期です。集団生活やプールなどの感染から皮膚科学会・小児皮膚科学会で統一見解が出ています。

伝染性膿痂疹(とびひ)
水疱やビラン・カサブタなどを触ると中の細菌が周りに広が次々に感染が拡大するため、病変部をきちんと覆い直接の接触をさければ学校や幼稚園を休む必要はないですが、プールでは覆えないためになおるまでは禁止です。

伝染性軟属腫(水いぼ)
ウイルス性のイボ状突起で、プールの水ではうつらないためプールに入ってもかまいませんがタオル・浮き輪・ビート板の共有はさけてください。集団生活自体は問題ありません。

頭じらみ
感染しても治療を始めれば集団生活やプールに入ってもかまいませんがタオルやヘアブラシ・帽子の共有はさけてください。感染者がみな一斉に早めに治療することが大切です。

手足口病
手足や四肢の赤い丘疹や水疱・口内炎が消えても便の中には原因ウイルスがしばらく排出されます。トイレ後の手洗いをきちんと行う・食べ残しやコップの共有はさけてください。熱がなく、食事がとれれば学校を休む必要はありません。

伝染性紅斑(りんご病)
頬が赤くなり、四肢に紅斑が出たときにはすでに感染力が弱まっていることより本人が元気であれば学校を休む必要はありません。一回弱まった皮膚症状は日光暴露や興奮により再燃することがあります。

麻疹(はしか)
空気感染・飛沫感染で感染力が強く、皮膚症状出現後3日目までは感染力があり、解熱後1日以上は隔離の必要があるといわれているため、解熱後3日経過するまでが出席停止期間とされています。

風疹
飛沫で感染します。潜伏期2~3週間、解熱とともに排泄ウイルス量は激減するため感染力はほとんどなくなるといわれていますが、皮膚症状が消失するまでが出席停止期間となっています。

水痘(水ぼうそう)
空気感染・飛沫感染で感染力が強く、感染期間は水疱出現1~2日前から水疱が乾燥化するまでと考えられているため、すべての水疱が痂皮化(乾燥)するまでが出席停止期間です。おおよそ5~8日くらいかかるため、診断するときは特に保育園児の場合はお母さんに対して心が痛みます。(大体1週間は保育園にいけないため)

 

今週1週間夏休みをいただきスタッフは帰郷したり思い思いの夏休みを過ごしていることと思います。
我が家は小6の娘たちの塾があるため東京でゆっくりと過ごしています。
先々週に義父が亡くなり悲しみに暮れた1週間でしたが、最後まで力強く生きようとした義父の姿は決して忘れず、でも家族皆が平常の生活に戻ってきています。私も院長もできることはわずかでしたが、でも感謝の気持ちも伝わっていたはずだし、後悔なく見送ることができました。
生きているって凄いと改めて思いました。悲しみに暮れた私たち家族も、でもその瞬間からお腹がすいて食事をしたり、当たり前のように仕事したり、運動したり、そんな当たり前のことが強い生命力や体力の上に成り立っていることを実感しました。食欲や物欲と戦うことも生きている証拠で愛おしいと思います。
新海監督の"天気の子”も娘たちと見に行きました。前作と似てるな~と単純に思ってしまったのですが、知り合い映画ツウ(担当美容師さん)意見では、線路が今回も出てくるが、前作では電車に乗りレールをすすみ最後だけ降りて自分の足で相手を見つけていたが、今回ははじめから電車も乗らずレール上を自分の足で最初から最後まで邁進して自分の道を切り開く主人公が今後の若者のするべき姿なのかも、ということ‥‥読みが深い‥‥新海監督の一作目からずっと見ている方のご意見に感動しきりでした。こんどその方おすすめの"メリーポピンズリターンズ”もブルーレイでぜひ見てみようと思います。

このお盆休みは親たちへの少しのヘルプと、義父によくウチの家事もやってもらったな~と感謝しながら家の中の片付けとしばらくできなかったfeel cycle 満喫 と人間ドック‥で充実した夏休みをゆっくりと過ごしています。双子の昼・夜の塾弁当もなかなかハードワークです。本当に家事はやりだしたらキリなしだと痛感しています😖



 

 

デュピクセント講演会

比較的涼しかった7月前半から急に暑い毎日となり皮膚トラブルも増えてくる今日この頃です。

夏休み前は様々講演会や学会が多く、毎週末ことに講演会に参加しています。

まず先日、アトピー性皮膚炎の治療薬 抗ヒトIL⁻4,13受容体モノクローナル抗体 デュピクセント注射剤の1周年記念の講演会がありました。

東大病院 管先生のお話では治験中の外用薬ではPDE4阻害薬やジャック阻害薬がありますが、その強さはステロイドのリンデロンと同等くらいであるそうです。また、デュピクセントは2週間でカユミスコアが改善、重症度スコアの半減(PASIスコア50)に2~4週というお話でした。ですから、注射してから2週くらいでカユミが減り、皮膚症状も一か月すると半減するくらいに良くなるようです。

次に、済生会病院の海老原先生のお話では、臨床的な良く聞かれるアトピー性皮膚炎の治療・生活ポイントのお話がありました。
・皮膚が軽快してステロイド外用を下げる場合はランクを下げるよりも外用の間隔を空けるほうがよさそう。
・皮膚を洗うときは何もつけないより刺激のない石鹸でサラッと洗うほうがよい。皮膚ブドウ球菌などの除去の面からも。
・紫外線を浴びると悪化することが多いため、吸収剤の入ってない日焼け止めであればやはり使用したほうが良い。
・動物アレルギーが重度でなければ、ペットとの接触(ペットを飼ったり)で悪化することはなさそう。
・急激悪化の場合、免疫抑制剤(シクロスポリン)やステロイド内服を考慮するが、ステロイドは3~4錠を3日間くらいで漸減するのが良い。

次にNTT関東病院の五十嵐先生からは、デュピクセントの多数症例のご経験から、率直な現実的なお話がありました。
デュピクセントは軽快してから6か月くらいで継続するか判定することにはなっているが、6か月だと少し短く1年くらいは継続したほうが良い。
シクロスポリンからデュピクセントに切り替える場合は初めは両方重ねてから徐々にシクロスポリンを漸減していくほうが良い。
注射を始めると皮膚がしっとりと乾燥が良くなる・肌質が良くなって人前で手足が出せるようになったと喜ばれることが印象とのこと。
36%(約3分の1)で機序は不明の結膜炎になりやすいこと。
初回は2本打つので10割負担で163280円(保険3割負担で約49000円)、その後2週ごとに81640円(保険3割負担で約25000円)になること


最後に東京女子医大眼科の高村先生のお話でアトピーとデュピクセントの副作用の結膜炎に関するお話がありました。
目の周り・瞼へのステロイド外用は目の中に入らなければ眼圧の上昇は起こらないこと。
デュピクセント副作用で起こりやすい結膜炎は機序が不明ですが、アトピーの症状とは異なり、血管拡張と輪郭部の赤みが特徴で通常の抗アレルギー点眼は効かずステロイドの点眼かタクロリムス点眼薬(タリムス0.1%点眼)が有効であるとのこと。タリムス点眼薬はアトピーの結膜炎やアトピーの瞼病変にも有効とのこと。とにかく眼科医にきちんと診察してもらうことの重要性を実感しました。

先週末は小児皮膚科学会に参加し、東京都立小児総合医療センターの成田雅美先生の小児と食物アレルギーのご講演を聴きました。
乳児の食物アレルギーと乳児のアトピー性皮膚炎とは全くイコールではなく、アトピーがあると食物抗原の感作率が高くなり皮膚症状の重症度と相関すると考えられています。また、食べ物アレルギー検査のIgEの値が高いのは食べ物アレルギーのリスクが高まるのみで、中には陽性にでても食べ物アレルギーのない子もいます。食べ物アレルギー自体は実際食べてみてどうかの負荷テストで確定されます。

また、アトピー症状がある乳児も卵など特定の食べ物をはじめから除去したり摂取時期を遅らせることは最近は否定されています。

ある実験で皮膚症状加療中のアトピー性皮膚炎乳児の卵除去をした群では1歳時で38%が卵アレルギーを発症したのに比べ、卵摂取群(少しぐらいは摂取OKとした群)では卵アレルギーの発症率は8%と低値でした。また、卵除去群の38%のアレルギー発症例では発症しなかった例に比べ、皮膚炎のコントロールが不良であったことがわかりました。

つまり、少量の加熱卵なら早期にスタートした方が、また、皮膚症状をしっかりコントロール加療していった方が、卵アレルギーの発症率がさがり望ましいことがわかりました。
離乳食のスタート時期はこの30年で2ヶ月も遅くなっていることがわかっていて、乳幼児の食べ物アレルギー発症が増えた原因の1つでは、と考えられているそうです。
家庭のホコリの中にも卵タンパクなど食べ物アレルゲンが存在することがわかり、卵抗原は日常的に存在することより、皮膚症状をしっかりコントロールして早期から加熱卵摂取もスタートした方がアレルギーが発症しにくいという最近の考えを改めて再確認することができました😃

下の子供たちも夏休みになり、入院闘病中の義理父に逢いに母校千葉大学病院に一緒に連れて行きました。夏期講習も大切ですが、それよりももっと大切。生まれたときから本当の父のようにお世話になった義父の闘病をみるのはつらいかもしれないけれど二人で病室のホワイトボードにメッセージを。何を書くかと思いきや "負けたら終わり!頑張れ”と孫ならではの厳しい言葉‥‥子供のパワーを感じました。

義父や実父の闘病をみていると気持ちがつらいですが‥できることを今までの感謝を込めて。

虫刺され~蚊やトコジラミ刺症について~

6月末になり虫さされや水いぼ・とびひなどの夏らしい皮膚科外来になってきました。昨日夕方、虫刺症で有名な兵庫医科大学皮膚科の夏秋優先生の分かりやすいご講演会がありました。

吸血性の昆虫に蚊・ぶゆ・アブ・ノミ・トコジラミなどがあげられますが、一番夏に頻度が高いのは蚊(アカイヱカ・ヒトスジシマカ)です。

虫の唾液腺物質を注入してから吸血しますが、その唾液腺物質に対するアレルギー反応で刺し口が腫れるなどの皮膚症状がでてきます。

step1: 新生児期   無反応

step2: 乳児期    遅延型反応のみ(少し遅れてから腫れる)

step3: 幼児期~青年期 即時型反応+遅延型反応両方

step4: 青年期    即時型のみ(すぐ赤くなりすぐ治る)

step5: 老年期    無反応

日本ではstep1~5に徐々に進んでいき、乳児期などまだ刺され慣れないと遅れてかなり腫れる遅延型反応が中心ですが、刺され慣れすぎると刺されたのが気が付かない“無反応”となります。

*ぶゆ  高原や渓流沿いに朝・夕多く、吸血部に出血斑が生じるのが特徴で24時間後に腫れがピークになります。ぶゆは何匹も集団で襲ってくることがあり、跡が慢性痒疹になりやすいので早期の外用が大切です。早春~晩秋までわりと一年中います。

*アブ  高原や牧場に多く、吸血時に皮膚を傷つけるため激痛が起こりやすいのが特徴です。6~9月。

*ヌカカ 高原や山あい・または海岸にいて時に集団で襲いたくさん刺されることもあります。吸血時に皮膚をかじるためチクチクした痛みを伴います。衣類のなかや頭髪の中にも潜り込んで刺すことがありますがごく小さいので網戸を通過してしまいます。6~8月。

*ネコノミ 野良猫の生息する庭や公園・土に生息し地面から30cmジャンプして飛びついて吸血します。1日~1日半たってから時に緊慢性の水疱となることもあります。6~9月。

~トコジラミ~(ナンキンムシ)

室内の柱や壁の割れ目に生息して夜間になると出てきて移動し吸血するカメムシの一種でホテルなどの部屋のあらゆる隙間に生息してカバンやスーツケース・衣類・書類を介して移動し拡散することが多く、最近は世界を移動する人が多い社会的要因や殺虫剤抵抗性のトコジラミが増えてきて社会問題になっています。吸血時間は平均15分くらいで途中で刺し口を変えて何か所も刺し口が並ぶこともあります。

また、初めて多数刺された場合1~2週間で感作が成立してしまいその後わずかに吸血部に残る唾液腺物質が再び遅延してアレルギー反応を起こし“遅発反応”が出てくる、帰ってしばらくたってからバーッと紅斑がでてくることもあります。

また最近はメジャーな殺虫成分ピレスロイド系には効かないトコジラミが増え、駆除にはできれば専門業者(日本ペストコントロール協会で紹介している)が望ましいですが、カーバメート系・オキサジアゾール系殺虫剤が効果的です。

イカリジンやディートなどのスプレーもある程度は効きますが塗り残しがあるとわずかの隙間でも刺されること、数時間の効果なので朝方には刺されてしまうのでやはり見つけた場合は専門業者さんが安心です。
仕事や旅行で世界各国や国内の移動が増え、そのまま旅行先の部屋からカバンや洋服・書類を介して持ち帰り自分の部屋で繁殖させてしまうこともあり、トコジラミと気が付き駆除できないと自宅で繰り返し刺されてしまうため最近増えていると知っておくことが大切です。

普段何気なく診断治療している虫刺されですが、種類や特徴で正確に診断し予防駆除が大切だと大変勉強になる講演会でした。

 

最近クリニックスタッフが海外へ留学したり海外の仕事へ転職したりすることが多くその若い行動力にこちらも元気をもらいます。確かに自分の体力も十分あり親も元気でケアの必要がない若いうちに自分自身のやりたいことに世界でチャレンジすることは素敵なことです。

この数か月、院長は自分の父が、私は自分自身の父がそれぞれ自宅で闘病したり入院したりで仕事以外はほぼそれぞれの実家や病院にヘルプにいっております。二人とも高齢なので病気は仕方ないと思う反面、まだ頭もしっかり元気なのでできる限り長生きしてほしい気持ちになります。私自身の少し認知の母は父入院中は一人になってしまうため頻回に実家に立ち寄りますがいつも帰宅する際 “本当に仕事も自分の子供もあるのに来てくれて有難うね” と必ず言ってくれる母にいつも泣きそうになります。自分がその年代になって子供に助けてもらっている気持ちは何とも言えず複雑なものだろうと想像すると胸がいっぱいになります。院長も闘病を頑張っている義父とそれを毎日支える義母を思う気持ちは同じ気持ちだと思い、今はそれぞれの親にできることを後悔のないように毎日考えています。

毎日年齢は重ねていき、自分の体力や気持ちの衰えを一年一年実感しますが毎日診療で接する患者さんたちから逆に元気をもらいながら幸せを実感しながら日々過ごしています。この先あっという間に7月の夏の暑さになりますが、食事と睡眠に気を付けながらできる範囲の運動で体力を維持しながら夏を乗り切っていきたいと思います😃

 

 

 

 

«自己注射ができるようになったデュピクセントについて