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2020年3月

アトピー性皮膚炎の免疫病態について

最近さすがに仕事以外は子供達と共に自宅にこもっているためアマゾンで購入した医学雑誌を読んでいます。兵庫医科大学の今井康友先生のアトピーの免疫学病態の論文がわかりやすくなるほど、と思いましたので紹介させていただきます。
アトピー性皮膚炎は今の時期の、気温変わり目などは症状が悪化しやすくなります。
免疫反応は、自然免疫(抗原非特異的)と獲得免疫(抗原特異的)に分けられますが。後者の獲得免疫では、スギ抗原の感作療法シダキュアが花粉症に有効であり、ダニ抗原の感作療法が通年性アトピー性皮膚炎や一部の喘息に効果的であるのは、特定の抗原に対してT細胞が不応答性が誘導されることを利用したものです。
これに対してアトピーには免疫感作療法は有効でないと分かっています。卵や乳を除去した食事は無効であるし、妊婦さんや授乳婦さんへの食事制限は子供のアトピー性皮膚炎の発症に有効でないことより、獲得免疫だけでは病態の説明がつかず、自然免疫も重要であることが分かっています。
アトピー性皮膚炎の病態には ①皮膚バリア ②かゆみ ③免疫反応 が関連し合いお互いにどれが上流というヒエラルキーは存在せずにお互いに影響しあっていると考えられています。アトピー性皮膚炎では自然免疫が獲得免疫に橋渡しをする機序が分かってきています。
実験レベルですがアトピー性皮膚炎のダブルスイッチモデルが提唱されています。
1.初期:まず自然免疫の炎症(IL33がILC2s=2型自然リンパ球を活性化)紅斑が発生するがまだ可逆性の状態
2.急性期:獲得免疫のスイッチが入る(ILC2sはTARCを介してTh2細胞を皮膚の局所に遊走させる)スイッチは非可逆的で自然治癒は難しい
3.慢性期:アトピー性皮膚炎の症状が進み苔癬化(固く盛り上がる紅斑)Th17/Th22など多彩な炎症細胞浸潤がみられる

慢性期になってしまったとしても現在は標的をしぼった治療(生物学的製剤、注射剤)もデュピクセントをはじめ色々今後も新薬が開発販売されますが、患者さんにより効果に差があることも分かってきています。すなわち、病態には多彩な因子が色々な軸で関与しあっていることが考えられます。内因性(IgE上昇がない)・外因性(IgE上昇あり)や、成人期・小児期ではサイトカインの産生パターンが異なることが分かっています。

また、アトピー性皮膚炎の病勢マーカ-としてTARC(タルク)のほか、SCCA2(SCC抗原2)も病勢反映することが最近分かっており、薬の切り替えやや病状の推移を判断するときに重要なマーカーになります。

アトピー性皮膚炎、色々病態がいろんな軸で関連し合い、難しいというか奥深い‥‥

コロナ関連で勉強会がすべて延期になり残念ですがまた再開されたら最新の考えを吸収していきたいと思います。
新しい治療としてすでに有名なデュピクセント注射剤の勉強会、そしていずれ今年中に発売予定のコレクチム軟膏(jak阻害剤)の情報講演会もはやくできるように祈るのみです。

今日は娘二人の小学校卒業式でした。一人の保護者のみの出席が認められて我が家は親の代わりに長男が出席。6年間、本当にあっという間でした~。私は仕事にかまけて最後の卒業準備一部しかほとんど関われなかったですが、楽しく通学できてそれなりに成長出来たことに感謝です。

今は東京のコロナウイルス感染症の正念場。face bookをみていると大学の同期や後輩など中核病院で働く医師達の緊迫感が伝わります。緊張感を保ちながら自覚をもって行動していきたいです。暖かく桜の時期、ほーっと気が緩みやすいですがあともう少し、緊張感もちながら3つの密(密接場面・密集場所・密閉空間)を避けながら過ごしていきたいです。頑張れ日本‥‥頑張れ東京‥.

 

 

女性のびまん性脱毛について

40半ばを過ぎた頃から、頭頂部から側頭部や前の生え際つまり全体に髪の量の減少や抜けの多さに、分かってはいても気持ちがへこみます。長年の美容師さんからも白髪はあまりないけど頭頂部のボリュームをカットでなんとか‥と言われ‥‥30年以来の付き合いなので変化が知られている以上、より年齢の経過を痛感します。
先日女性の脱毛専門でいらっしゃる順天堂高齢者医療センター植木理恵先生と順天堂浦安須賀康先生の対談を我が身のこととして読ませていただきました。
加齢に伴う女性の薄毛に影響があるのは、1.毛の密度 2.毛の太さ 3.抜け毛の量 という順番で密度が一番実感として気になる点となります。加齢の要因が大きく、他にホルモンや栄養・全身疾患や薬剤などの要因が関連することがあります。ホルモンのほか女性では貧血や亜鉛欠乏によっても密度が減るため欠乏しないような食生活も大切です。摂りたい食材としてはタンパク質・鉄分・亜鉛・ビタミンBなどが挙げられますが、亜鉛は牛肉の赤身やレバー・牡蠣・高野豆腐・ブロッコリーなど、鉄分はほうれん草・かつお・まぐろなどに多く含まれます。
冷えは毛髪量減少の悪化因子となるので冷えの漢方:加味逍遥散や当帰芍薬散やユベラ内服もおすすめです。ビタミンBはビタミンB5(パントテン酸カルシウム)やビオチン酸(ビタミンB7)などが挙げられます。
また頭皮は髪の毛で覆われて湿潤環境にもかかわらず角質の水分保持量は少ないためバリア機能が低く外からの刺激に対して弱い状態であることが分かっています。また常在しているマラセチア(真菌)のみならずブドウ球菌などの細菌とのバランスが崩れると落屑フケも多くなることがわかっていて真菌だけでなく細菌のバランスを正常に保つことが大切だと考えられています。
つまり、低刺激のシャンプーで優しく洗浄することも、その後の頭皮へ十分に保湿することも共に重要です。
毛髪再生に必要な幹細胞は血流を含む微小環境が必要だということも分かっていて、血流!大切です。ずっとパソコン仕事をしていると肩首のコリがすすみ血流が悪くなるのでヨガの先生に教わった腋窩斜め後ろのマッサージや後頸部のほぐしをしながら頭部の血流を心がけたいと思いました。

治療としてAGA(男性型脱毛症)では内服フィナステリドやより効果のあるザガーロがありますが、女性には治療としての認められた内服はなく、ミノキシジル外用がすすめられます。ミノキシジルは新たな発毛促進と柔らかくなってしまった毛(軟毛)の硬毛化の両方の効果があります。成長因子や血管内皮増殖因子を産生したり、毛の休止期(抜ける時期)から初期の成長期(伸びる毛)へ移行させたり、後期成長期の維持に作用します。ホルモンなどとは関係なく毛髪に効果があるため、円形脱毛や他の脱毛にも効果があるという報告もあります。
今のところ日本では内服のミノキシジルは十分な臨床評価が行われていないという事で認められていませんんが、海外では血圧低下を起こさない程度の低容量のミノキシジル内服が行われ効果的と報告されています。日本での今後の臨床検討をチェックしていきたいと思います。

3月は必要な用事以外はあまり外出なく、子供や学生には長い春休みです。
私自身も仕事以外は家にいることが多く、この時期に家の中を整理して断捨離したり必要な勉強をしたりする良い機会かと考え、この機会をチャンスに変えて落ち着いた後のパワーにためていきたいと思います、理想的には‥。
今は家にいても医学雑誌が買えるし勉強しようと思えばできる、本当に良い時代です。さらには家にいてもヨガや筋トレなどできればベストですが‥‥なかなか、いや全くしないものですね‥。
十分な睡眠と家ヨガ・ストレッチ・しっかり食事を継続していきたいと思います。

 

 

 

 

肌荒れと腸内環境について

コロナウイルスの影響で室内でのジムが閉じたり自粛したりで運動不足になってしまう、と最近耳にすることが多くなりました。
小学校も休校になり子供達もずーっと家にいるため、私自身も暗闇のサイクルもヨガスタジオもなかなか行く機会が少なく、唯一マンション下の個人トレーニングジムでお尻集中筋トレやヨガを少し楽しみながらおとなしくしています。動かないからか、仕事中のマスクのために水分摂取量が落ちているからか、いつもより便秘傾向になりやすいです。

美容皮膚科雑誌で順天堂大学の便秘診療で有名な小林弘幸先生・雪下岳彦先生の腸内環境に関する記事がありました。
便秘とは、"本来体外に排出すべき糞便を十分にかつ快適に排出できない状態”であり、例えばダイエットや食事制限で食事量が少なければ排出すべき糞便も少ないため排便回数も少なくなるのは当然なので、3日出なかったら便秘、などと安易に下剤に頼ることにも注意が必要です。

日常診療では“回数減少型”と“排便困難型”に分類され、回数減少型は週3回未満、困難型は快適に排便できない状態です。特に女性の便秘では器質的には大腸などに異常はなく、機能性便秘といって、ホルモン周期、食習慣やダイエット、水分不足、運動不足や環境による排便我慢などの要因がいくつか複合して便秘が生じやすくなります。
女性ホルモン:排卵後から生理までの間に多く分泌されるプロゲステロンは平滑筋の働きを抑制する作用があるため腸の動きが鈍くなり生理前は便秘になりやすくなります。
食事習慣:野菜に多く含まれる食物繊維には便の量を増やしたり腸内で短鎖脂肪酸を生成し便の大腸通過を促します。また朝食は胃・結腸反射をもたらしますが朝食がかけるとこの反射が減り排便が起こりにくくなります。若い女性では朝食含めた食事量が減るため食物繊維が不足し排便量も減ることにより便秘が起こりやすくなります。
水分不足:ヒトの生活に必要な水分量は2.5Lといわれていますが、そのうち1.2Lは飲水料から、1Lは食事摂取の中から、と考えられています。
飲水量が十分取れなかったり食事量が減ると水分摂取量も少なくなりますが、一方で一日に体から排出される水分量も尿や便から出る水分量は1.6L、呼気や汗で排出される水分が0.9Lですが夏は汗の排出量が増加してより水分不足になりやすくなります。水分が不足すると大腸での水分吸収が増加するため便が固くなり便秘になりやすくなります。
運動不足:運動0の女性に比べ、週1運動の女性は16%の便秘リスクの軽減、毎日運動の女性は44%のリスク軽減という報告もあり、運動不足は便秘のリスク因子になります。運動自体で大腸の動きを増加させると排便の際に必要な腹筋群・骨盤底筋群・横隔膜が連携して腹圧を高めていますが元々女性が弱めのこれらの筋肉が運動不足でより弱くなると便秘を悪化しやすくなります。骨盤底筋群、大切ですね。
ストレス:腸の蠕動運動は交感神経(消化管活動抑制)・副交感神経(消化管活動亢進)の支配を受けていますが、生活リズムや環境変化、睡眠不足などで自律神経バランスが乱れ交感神経優位になりやすく腸の機能低下を招きやすくなります。
刺激性下剤の長期連用:手に入りやすい市販の下剤(センナ・大黄・アロエなど)を長期乱用すると、腸内の襞減少や腸内神経叢の変性を引き起こし腸管運動が低下しやすくなります。ですから刺激性下剤を頼ると更なる便秘の原因になり、薬への反応が低下しやすく、さらに連用が増量を招き下剤依存状態になってしまうこともあります。最近は腸管上皮の水分摂取量を増やすリンゼス錠や小腸での水分分泌を促進して便を柔らかくするアミティーザ錠等が長期間使用できる薬として挙げられています。

薬に頼る前に、食生活やプロバイオティクスなどで症状を改善できることもあり、優先されます。
健康的な食事プレート:野菜+果物+健康的なタンパク質+全粒穀物(玄米など精製度の低い穀物)がバランス良く摂れるのが理想です。朝食が摂れない場合はコップ1杯の水を一気に飲むことが最低限薦められています。
プロバイオティクス:ヒトの体に有益な効果をもたらす微生物や、それを含む薬や食品のことをさし、腸内細菌のバランスを改善することで便秘を改善する効果があると期待されています。皮膚との関連性は、腸内細菌のバランスが崩れるとフェノールなどの腐敗物質の産生が増え、フェノールが腸管から吸収されて血流を介して皮膚に到達します。フェノールは皮膚では角化細胞の分化を抑制して肌トラブルを生じやすくなります。乳酸菌やビフィズス菌などの単一の菌ではなく“腸内フローラ”と言われる腸内細菌全体の“多様性”が注目され、その多様性を実現できる方法として上記健康的な食事プレートに加えて色々な種類のヨーグルトや発酵食品を取り入れることが有効と言われています。野菜・果物に含まれるオリゴ糖・食物繊維は腸内細菌の栄養源としてその増殖を助ける効果があり摂取が薦められています。


バランス良い食事・運動により大腸内細菌叢を整えて美肌をキープしていきたいものです😃
気持ちがなかなか落ち込みやすい今のこの時期、きちんと食事・しっかり睡眠とゆっくりお風呂とストレッチ、当たり前のことを穏やかに冷静に‥‥春を待ちたいと思います。

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