« 2020年5月 | トップページ | 2020年7月 »

2020年6月

デュピクセント注射剤について

自粛は明けましたが軒並み学会や講演会はウェブ講演会となり、夜間家や帰宅途中でスマホにて講演を聴くことが出来るようになりました。便利です。最近はまず、アトピー性皮膚炎の重症の方への治療、注射剤デュピクセントについてサノフィさんの企画講演で経験豊富な開業医の先生のお話をうかがいました。

アトピー性皮膚炎の注射剤デュピクセントは2018年1月から承認された治療薬です。一定期間の通常のステロイド外用やプロトピック外用ではアトピー性皮膚炎の炎症やかゆみ、臨床症状が軽快しない高校生以上の方で、診察で一定以上の重症度スコアを判定しあるスコア以上の方が適応となります。2週間に1回、腕や太ももなどに皮下注射を行うことでまずカユミが真っ先に軽快し、続いて皮膚の赤みなどの症状や硬い苔癬化(盛り上がり)が軽快、さらには肌の質感が少し柔らかく変化してくることが報告されています。外用は継続しながら、が前提ですが、何よりカユミをなくし肌の質感も改善するのでQOLを変えることが出来ます。

*機序 

アトピー性皮膚炎の炎症の主役のTh2細胞というリンパ球から分泌されるサイトカイン IL4,IL13をブロックする効果と、Th2細胞への分化する過程を抑制するので、主役のTh2リンパ球の前の段階と下流も両方ブロックする効果があり、かゆみ、皮膚の炎症両方に効きます。IL4,IL13からのシグナルは角質細胞のフィラグリン産生や抗菌タンパク産生を傷害するので、デュピクセントによりフィラグリン産生が増えて皮膚のバリアも強くなることも報告されています。アトピー性皮膚炎の重症度の指標TARC(タルク)も2週間後にかなり低下することがわかり、カユミ・皮膚症状の改善と一致します。

*治療間隔

2週間に一回の注射投与(皮下注射、うでや太もも、腹部など)が必要です。何回か慣れた方は自己注射も可能です。

*副作用

喘息の加療を行っている方は喘息も軽快し喘息の治療をやめてしまうと危険なので喘息加療は継続することが大切です。
また4割くらいで機序不明の結膜炎の発症があるため、その場合は抗菌剤目薬や場合により眼科受診が必要になります。

*治療代金

一番のネックは薬治療費です。 今年の4月から薬代が少し安くなり、3割負担の方で、初回月(月3本)のみ59720円、それ以降(月2本) 39814円となりそれでもまだ高額です(注射代金のみで)。

年収により値段は異なりますが高額医療費の助成が使えることが多く、自己負担額はそれよりは少し減額されます。加入する保険者に事前に"限度額適用認定書”を発行してもらって直接の支払いも少なくすることも出来ます。

*治療期間 

1回の注射後比較的すぐにカユミは軽減し、2週間で皮膚症状改善効果が認められ、3ヶ月するとほとんどの方がカユミや皮膚症状が明らかに改善すると報告されています。基本的に炎症や紅斑、カユミがおさまり、効果が実感できるまでは継続するのが理想です。6ヶ月を目安に良い状態を維持できるようであれば中止します。その後も引き続き外用治療は継続します。

ネオーラル(シクロスポリン)内服から切り替えるときは最初は少しずつかぶせながらシクロスポリンを少しずつ減量していき中止します。

一番のネックは治療費でしたが、この4月から、3割負担の方で一月(一本)あたり5000円安くなったので少しお勧めしやすくなりました。まだそれでも高額ですが、なかなか今までの従来の治療でコントロールが困難な方には情報提供していきたい薬剤です。

久しぶりの新薬・コレクチム軟膏も処方が始まり、アトピー性皮膚炎の治療薬に選択肢が増えることは嬉しいことです。また実際の講演会会場で臨床の先生方の実際の使い方やウェブ講演会では聞けないような率直な感想をうかがいたいですが、まだまだそれは少し先になりそうです‥‥

子供達の学校生活も少しずつ再開しつつあります。この数ヶ月はウェブやプリントで授業は少しだけ受けられても、学生生活に何より大切な、仲間や友人との交流や人間関係の学びがすっかり抜け落ちてしまったことが何より可哀想ですが、今年は仕方ない。世界みな同じです。
この大変な時期をなんとか皆でプラスの方向に考え後で懐かしく振り返ることが出来るように今はいろいろ勉強して自分自身を上げていきたいと思います✨


ニキビを悪化させるモロモロについて

マスクの下の皮脂詰まりから、アゴに白ニキビ面ぽうや赤いプツプツが出来ています。マスク時間が長いと仕方ないと諦めず普段の生活からこれ以上プツプツ出来ないように気をつける点は何か、小林美和先生の「痤瘡を悪化させる生活習慣」についての論文と野本真由美先生の「漢方薬による痤瘡治療」を読みました。

ストレス  ストレスを受けると視床下部から出る刺激ホルモン(CRH)が増えて下垂体前葉からACTH(副腎皮質刺激ホルモン)が分泌されてコルチゾールが増えますがこの、視床下部−下垂体−副腎皮質軸(HPAaxis)のホルモンの受容体が脂腺細胞にあることから、このストレスホルモンが脂質産生を増加させて痤瘡を悪化させていることが分かっています。さらに、脂腺細胞そのものも皮膚局所でストレスを与えられるとHPAaxis系のホルモンを自己分泌することもわかり、皮膚そのものの外的刺激ストレスも良くないそうです。確かにストレスがたまると大人のアゴニキビが出来やすくなのは皆経験することです。

睡眠  充分な睡眠はHPAaxisを抑制しますが睡眠か不足すると抑制が外れてコルチゾールが増え、痤瘡は悪化します。ただ、フランスでの報告では睡眠時間と痤瘡とに関連なしとの報告もあるそうです。臨床的には睡眠不足や睡眠サイクルと関連する方は多い気がします。

搔く刺激、触る刺激   触り潰す物理的刺激は出来ている小さな面ぽうを破裂させて炎症性ニキビに発展させるのみでなく、引っ掻くきにより角層バリアが損傷すると毛包部の角化を促すサイトカインが出て角栓詰まりができて面ぽうをつくると考えられています。

食事  あまりエビデンスのある悪化食材はなくチョコや乳製品、ナッツとの関連性に関しては否定的な報告が多く、食事内容との因果関係はまだ否定的です。血糖値の上昇に関わる高GI食品との関連が議論されています。

スキンケア  きちんと一日2回の洗顔で皮膚表面の皮脂を酸化させない=炎症の素になる遊離脂肪酸を作らないこと、逆に洗いすぎによる角層バリアの破壊を防ぐために、摩擦をかけない擦らない、触らない、できてしまったら薬で自然に治すことが大切です。また、皮膚バリアが低下していると塗り薬の刺激も起こしやすいので、十味敗毒湯など漢方薬などで皮膚バリアを整える事も有効です。

胃腸トラブル  胃もたれや便秘、下痢などの際に口周りの痤瘡が治りにくい場合は六君子湯や半夏瀉心湯などの漢方薬が効くことがあります。また、便秘傾向で悪化する場合は桃核承気湯も有効です。

月経周期  ニキビ肌の女性の約8割が生理前に悪化すると言われていますが、漢方的には血の巡りをよくする漢方が奏功します。血流が滞るとニキビの後の炎症後紅斑が残りやすく、その後の色素沈着も出やすくなります。ニキビその後そのものへの漢方でなくても鬱血やホルモンバランスを整える治療でようやくニキビが改善することはよくあり、様々な要因が関連しているのだと実感します。

化粧品  角栓の出来にくいノンコメドジェニックの製品が推奨されるほか、化粧品成分であるオレイン酸、スクアレンはコメドが出来やすいデータがありどちらかというと避けたい成分です。また、皮脂などの脂質を栄養源としているC.acnesニキビ菌はオリーブ油で増殖するという結果がありニキビを悪化させることがあります。

ひとえにニキビといっても男女、年齢、出来る場所もそれぞれで、奥が深いです‥今は単に抗生剤のんで塗って、だけでなくてその背景にあるスキンタイプや肌の状態、悪化因子は様々で、それぞれ各々の治療が必要な奥深い分野だと改めて感じました。

ニキビの心身治療にも詳しい小林美咲先生によると、ニキビの患者さんの8割はストレスによる悪化を自覚しています。ニキビを触ったり潰したりすることは快感であり交感神経緊張状態を和らげる効果もあることから、心身のストレスを紛らわすために掻破し、無意識に繰り返すうちに習慣化すると考えられています。 無意識のストレス~まずは、日本人に多い頑張り屋さんほど完璧を目指さず強くあろうと頑張りすぎず、〜出来ればいいな!くらいに気持ちを持つこと。人と比べて善悪を判断しやすい競合的な価値観にとらわれず自分の価値観を大切にしていきたいと感じました。

 

6月に入り少しずつ日常が戻ってきつつあります。今まで当たり前に思っていた仕事や、趣味や運動が出来ることが、今は有り難く思えるようになりました。半年ぶりの美容院で髪もすっきり、久しぶりに運動で汗をかくとスッキリ、心も少し前向きになれるから不思議です。自粛期間の体重増加を少しずつ戻していきたいです😃

少しずつ活動を戻していきながら、引き続き手指衛生・マスク・密を避ける を気をつけて過ごしていきたいと思います。

 

 

« 2020年5月 | トップページ | 2020年7月 »