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デュピクセント注射剤について

自粛は明けましたが軒並み学会や講演会はウェブ講演会となり、夜間家や帰宅途中でスマホにて講演を聴くことが出来るようになりました。便利です。最近はまず、アトピー性皮膚炎の重症の方への治療、注射剤デュピクセントについてサノフィさんの企画講演で経験豊富な開業医の先生のお話をうかがいました。

アトピー性皮膚炎の注射剤デュピクセントは2018年1月から承認された治療薬です。一定期間の通常のステロイド外用やプロトピック外用ではアトピー性皮膚炎の炎症やかゆみ、臨床症状が軽快しない高校生以上の方で、診察で一定以上の重症度スコアを判定しあるスコア以上の方が適応となります。2週間に1回、腕や太ももなどに皮下注射を行うことでまずカユミが真っ先に軽快し、続いて皮膚の赤みなどの症状や硬い苔癬化(盛り上がり)が軽快、さらには肌の質感が少し柔らかく変化してくることが報告されています。外用は継続しながら、が前提ですが、何よりカユミをなくし肌の質感も改善するのでQOLを変えることが出来ます。

*機序 

アトピー性皮膚炎の炎症の主役のTh2細胞というリンパ球から分泌されるサイトカイン IL4,IL13をブロックする効果と、Th2細胞への分化する過程を抑制するので、主役のTh2リンパ球の前の段階と下流も両方ブロックする効果があり、かゆみ、皮膚の炎症両方に効きます。IL4,IL13からのシグナルは角質細胞のフィラグリン産生や抗菌タンパク産生を傷害するので、デュピクセントによりフィラグリン産生が増えて皮膚のバリアも強くなることも報告されています。アトピー性皮膚炎の重症度の指標TARC(タルク)も2週間後にかなり低下することがわかり、カユミ・皮膚症状の改善と一致します。

*治療間隔

2週間に一回の注射投与(皮下注射、うでや太もも、腹部など)が必要です。何回か慣れた方は自己注射も可能です。

*副作用

喘息の加療を行っている方は喘息も軽快し喘息の治療をやめてしまうと危険なので喘息加療は継続することが大切です。
また4割くらいで機序不明の結膜炎の発症があるため、その場合は抗菌剤目薬や場合により眼科受診が必要になります。

*治療代金

一番のネックは薬治療費です。 今年の4月から薬代が少し安くなり、3割負担の方で、初回月(月3本)のみ59720円、それ以降(月2本) 39814円となりそれでもまだ高額です(注射代金のみで)。

年収により値段は異なりますが高額医療費の助成が使えることが多く、自己負担額はそれよりは少し減額されます。加入する保険者に事前に"限度額適用認定書”を発行してもらって直接の支払いも少なくすることも出来ます。

*治療期間 

1回の注射後比較的すぐにカユミは軽減し、2週間で皮膚症状改善効果が認められ、3ヶ月するとほとんどの方がカユミや皮膚症状が明らかに改善すると報告されています。基本的に炎症や紅斑、カユミがおさまり、効果が実感できるまでは継続するのが理想です。6ヶ月を目安に良い状態を維持できるようであれば中止します。その後も引き続き外用治療は継続します。

ネオーラル(シクロスポリン)内服から切り替えるときは最初は少しずつかぶせながらシクロスポリンを少しずつ減量していき中止します。

一番のネックは治療費でしたが、この4月から、3割負担の方で一月(一本)あたり5000円安くなったので少しお勧めしやすくなりました。まだそれでも高額ですが、なかなか今までの従来の治療でコントロールが困難な方には情報提供していきたい薬剤です。

久しぶりの新薬・コレクチム軟膏も処方が始まり、アトピー性皮膚炎の治療薬に選択肢が増えることは嬉しいことです。また実際の講演会会場で臨床の先生方の実際の使い方やウェブ講演会では聞けないような率直な感想をうかがいたいですが、まだまだそれは少し先になりそうです‥‥

子供達の学校生活も少しずつ再開しつつあります。この数ヶ月はウェブやプリントで授業は少しだけ受けられても、学生生活に何より大切な、仲間や友人との交流や人間関係の学びがすっかり抜け落ちてしまったことが何より可哀想ですが、今年は仕方ない。世界みな同じです。
この大変な時期をなんとか皆でプラスの方向に考え後で懐かしく振り返ることが出来るように今はいろいろ勉強して自分自身を上げていきたいと思います✨


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