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汗と体臭のコントロールについて

6月に入り暑くなり、ジメッとした汗と共に汗のニオイや体臭も気になる季節になりました。定期購読している美容雑誌で"体臭や汗のニオイ”について特集記事があり、御専門の須賀康先生(順天堂)・藤本智子先生(ふくろう皮膚科)・志水弘典先生(マンダム・北里薬学部)の座談会記事ですこし勉強しました。

外国人は体臭を個人の個性と肯定的にとらえているのに対し、日本人は体臭全体に対し否定的に捉えることが多いのは、海外では腋臭症に近いレベルの臭いを発生する遺伝子を持つ方は6~8割もいるのに対し、日本人では2割程度といわれているからだそうです。

特に臭いで悩む部位としては、腋窩が多く、足・頭部が挙げられます。

足の臭いは大人だけでなく子供も多く、汗腺の数は大人も子供も同じなので小さな子供の足では汗管密度が増えて臭いが強くなります。足の臭いは "イソ吉草酸” が本体と考えられ、汗に含まれるアミノ酸が皮膚の常在細菌により分解されてイソ吉草酸が産生されると考えられます。

頭部の臭いは40歳代男性で強くなることが多く、原因成分は最近では"ミドル脂臭”といわれる "ジアセチル” で中年男性特有の臭いと考えられていますが、最近ではこの中年男性頭部や首に特化したボディケア製品も出てきています。
この "ミドル脂臭” はいわゆる "2-ノネラール” が原因物質である "加齢臭” とは別物で、30歳から増加し40歳がピークである "ジアセチル” という劣化した油のような臭いということがわかりました。枕などにつきやすい油っぽい臭いです。"ジアセチル" は微量でも臭いやすく(嗅覚閾値が低い)、拡散しやすく、女性が気付きやすいといわれています。
機序としては、汗の成分が皮膚常在菌により代謝されて "ジアセチル” が発生し、毛穴から出る皮脂が常在菌により代謝されて発生する "中鎖脂肪酸” と合わさる結果、この 後頭部・首のウシロの "ミドル脂臭” が発生するといわれています。
対策としては、発生しやすい後頭部と首のウシロを1分以上丁寧に洗うこと、そして "加齢臭” 対策と同じですが、抗酸化力の維持!
具体的には、タバコや飲酒を控える・バランス良い食生活・適度な運動・肥満防止 などが挙げられます。確かに後頭部や首ウシロは意識しないと男女ともサラッと洗いやすい部位かと思います。1分以上は案外長いです。気をつけたいと思います。そして、当たり前のように分かってはいますが、改めて規則正しい生活・食事・運動、特に抗菌力を持つ汗をしっかりかくこと‥これらも引き続き心がけていきたいと思います。

腋窩の臭いは約7種に分類され、乳っぽいミルク型が多く、すっぱいような酸的なタイプ・カレースパイスタイプ・カビタイプ・蒸し肉タイプ・そのほかに分類されます。このうち、カレータイプの中の約3割、全体としての1割の方が非常に強い体臭であることが分かっています。このような方は入浴後も時間とともに元の体臭に戻るため、ケアが必要になります。
また、遺伝的な腋臭症の方の8割以上が耳垢が湿っていることが報告されています。

基本的には汗の治療をすると体臭も軽減するので多汗の治療+臭いの発生部位を清潔に保つ、という対策が基本となります。
従来の形成外科的な手術は効果的ですが、他の部位の発汗が増えてくる代償性発汗が問題となります。
エクロックゲルのような処方外用薬や塩化アルミニウム液の外用療法のほか、最近は"ミラドライ”という低周波マイクロ波治療器の有効性が知られています。
"ミラドライ” は汗腺をマイクロ波により焼却するため効果が安定していますが、何より皮膚に傷をつけないこと・ダウンタイムが短いのが魅力的です。
慈恵医大形成外科 宮脇先生や山梨医大形成外科 百澤先生のご報告によると、合併症としてごく小さな火傷+火傷による小さな皮膚潰瘍がわずかな割合で起こるそうですが、半年くらいで気にならない程度の痕になるそうです。
また、BMI20以下の痩せ型の方では瘢痕拘縮が起こりますが徐々に目立たなくなってくるようです。

今までタブー化され、治療の選択肢が少なかった多汗・体臭の治療にいろいろ選択肢が増えてきて悩んできた患者さんの生活の質が上がることは喜ばしいことです。また情報収集していきたいと思います。

6月以降、新しい外用薬としては、アトピー性皮膚炎の非ステロイド薬 ”モイゼルト軟膏”や、酒さの外用薬 "ロゼックスゲル”が処方出来るようになりました。またこちらも情報収集していきたいと思います。


都内に住む高齢の実両親は二人で過ごしていますが、姉と交代で週2日ほど訪問しています。ゴミ捨てや力仕事などもあり少しの時間でもすこし疲れます。でも普段二人で過ごしていてくれることに感謝し、特に認知のある母と過ごしてくれている父に心から感謝します。そして普段こうして自分の仕事に没頭できていることを改めて有り難いと感じながら‥‥そして姉と同じ思いを共有できることも有り難く感じながら、自分の出来る範囲でヘルプを続けていきたいと思います。

 

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