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2022年10月

皮膚科の新薬について

いつのまにか10月に入りました…コロナも落ち着き本来の生活がだいぶ戻ってきていると感じます。この春からは毎週日曜日も夫とクリニックでコロナのレセプトチェックをしていましたが最近はだいぶ時間がかからなくなり、感染者数の減少を実感しています。

この1~2年で私たち開業医でも処方できる皮膚科の新しい薬が増えましたが、処方した患者様を通して効果が少しずつ分かるようになりました。

*デュピクセント(注射剤)

アトピー性皮膚炎の様々な炎症メカニズムに関与するIL4/IL13を選択的に抑制する薬で感染防御に与える副反応が少なく、炎症全体の赤みや痒み、皮膚バリアの改善による肌の質感の向上につながります。長期に注射しても結膜炎以外の重篤な副反応がないため安心です。最初躊躇している患者様でもペン型の針が見えない薬剤のため自己注射ができ、自宅で行うことができるため、便利です。薬剤費も当初よりかなり安くなり、1本17000円(3割)ですので2週間に一回打つと1か月あたり35000円と当初より値段も下がりました。副作用が結膜炎くらいで安心感もあります。できればスタートしたら1年は継続することが望ましい薬剤です(抗薬物抗体ができてしまうため)。

*オルミエント(内服)

痒みの強いアトピー性皮膚炎と難治性円形脱毛症に適応のある飲み薬です。アトピー性皮膚炎の炎症や痒み・円形脱毛症の局所の炎症に関与するJAK(ジャック)というサイトカインを抑制することによりアトピーの痒みをかなり早期から改善します。受験や就活・結婚式など短期間でかゆみや炎症を抑えたい場合にも短期間でも内服できて比較的早くからかゆみを抑えるためおすすめです。
円形脱毛症に関しては発症から6か月以上経過する慢性、かつ頭皮の50%以上の脱毛斑がある重症な場合に適応になります。またアトピー性皮膚炎と異なり内服後すぐに脱毛斑の改善がみられることは少なく飲み始めてから4か月後から改善率が高まるため、10か月~1年は継続して内服することがすすめられます。国際的には、50%以上の円形脱毛斑の方にオルミエント4mgを9か月内服した場合、4割の方が脱毛斑が20%以下に改善した、というデータがあります。
JAKを抑制するオルミエントは副反応として感染症のリスクや血液検異常(肝機能・腎機能・コレステロール値)やまれに間質性肺炎・血栓症・消化管穿孔が挙げられます。若い方に多い副反応は、上気道感染症・帯状疱疹・ニキビが挙げられます。
ですから年齢にかかわらず、内服前に胸部レントゲン検査(結核の有無)と血液検査(一般+B/C型肝炎ウイルス)が必要になります。薬剤費はまだ高額で大体3割負担の方で薬代・診察や検査代も含めると月5万円程度かかります。

*リンウ”ォック(内服)

オルミエントと同様にJAKを阻害することによりアトピー性皮膚炎の痒みや炎症に効果的な内服薬です。円形脱毛症には適応はありません。 オルミエントが15歳以上の適応であるのに比べて、12歳以上の適応があるため、難治性の中学生のアトピー性皮膚炎の方にも処方できます。
15㎎と30㎎がありますが、高容量の30㎎の錠剤の内服によるデータはデュピクセントの治療データを上回る効果で痒みや臨床症状をより早く抑えることができます。起こりうる副作用や事前の検査はオルミエントと同様で、30㎎の高容量だと感染症の出現も増えるためと必要な期間のみ30㎎内服後に15㎎に減量することが多いようです。薬価は15㎎で1か月43000円(3割)、30㎎で1か月62000円(3割)となります。

*ミチーガ(注射剤)

13歳以上の難治性アトピー性皮膚炎に適応のある注射剤で、アトピー性皮膚炎の中枢への痒みシグナル伝達や感覚過敏に関与するIL31を抑制する薬剤です。今のところ自己注射はなく、院内で4週間に1回皮下注射します。アトピー性皮膚炎に特有なIL13による痒みを抑えるので、引っ掻くことにより皮膚症状をより悪化させ、さらに痒みを増強させる悪循環(itch-scratchサイクル)をおさえます。
副反応は上気道炎や皮膚感染症(ヘルペスなど)が挙げられます。
薬剤費は1本(約1か月)35000円(3割)になり、通常は少なくとも16週(4か月)までに効果がみられます。

*コレクチム軟膏(外用)

2歳以上のアトピー性皮膚炎の方に処方できる塗り薬でJAK阻害効果により主にかゆみを抑えます。寛解導入時期には顔や首に、寛解維持期には体にも使用することが多く、塗ったときのホテリや刺激感はありません。また皮膚バリアを改善する効果もあるため、皮膚の薄い指先などにも使用することが多いです。プロトピック以来の非ステロイド外用薬で処方する機会が大変多くなりました。

*モイゼルト軟膏(外用)

コレクチムと同様、2歳以上のアトピー性皮膚炎に処方できる一番新しい非ステロイドの塗り薬で、サイクリックAMP(cAMP)を分解しアトピー性皮膚炎の炎症物質の産生を高めてしまうPDE4という細胞内の酵素を阻害する効果があります。コレクチムと比べて炎症やあかみ自体を抑える効果があるようです。人により、顔や首には十分効果あり、とおっしゃる方もいて今後も期待できる薬です。ホテリや刺激はないですが、軟膏がコレクチムに比べすこし固めの印象です。

*ロゼックスゲル(外用)

顔の毛細血管拡張による赤み=酒さ(しゅさ)に対する塗り薬で、主成分で抗原虫薬である“メトロニダゾール”が酒さのあかみに効果があります。即効性はないものの少しずつ効果を発揮し、抗生剤や漢方薬などの内服薬とともに治療します。

*エクロックゲル(外用)

日本人の10人に1人といわれる原発性腋窩多汗症の治療薬で、抗コリン作用により発汗を抑えます。1プッシュで片方のわきの下に広い範囲で毎日塗ること、眼圧が上がってしまうので目に入らないようにすることが大切です。

*エピフォートワイプ(シート状)

エクロックと同様、原発性腋窩多汗症のシート状の塗薬でシートで拭くように外用するためべとべとしないことが利点です。シート状で持ち運びしやすいため旅行中や学生さんにもおすすめです。

 

先日製薬会社さんの持ってきてくださった雑誌に減塩食事についての木村要子先生(広島国際大学栄養科教授)の記事がありました。最近は厳粛な減塩よりは美味しく減塩・適塩が継続しやすいと考えられています。
*“だし”などのうま味をうまく利用する
*汁物は一日一食にする
*食材の上から調味料はかけず、つけ食べ(お皿に調味料を出してつけて食べる)にする
*和食に乳製品を加えてコクやうま味を引き出す“和乳食”を試してみる

“つけ食べ”などはすぐにでも実践できる適塩生活ですので心掛けたいと思います。

 

歳を重ねるごとに1か月が、1年があっという間すぎて怖いくらいです。
今は仕事以外の時間は、運動を含めた自分自身の健康のメンテナンスと親のケア中心です。
年老いた親の断捨離を手伝っていると、まだ健康で元気いっぱいのうちにマメに断捨離しなくては、と実感します。体力やパワーがなくなると断捨離する気力もなくなってきます。
ただでさえ子供たちの学校教材や洋服などが毎日のようにあふれ、自分たちのモノや洋服も増えていきます。シンプルに過ごしたいと思いつつもいろいろ物は増える一方です。時々マメに捨てること、時々棚や扉を開けて使っていないものはすべて捨てること、を目標になるべく自分に合ったやり方で体力のあるうちにマメに断捨離していきたいと思いました。
年老いた親からも学ぶことがたくさんです。

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