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2023年4月

酒さ様皮膚炎や口囲皮膚炎、また酒さとニキビダニについて

長いマスク生活やこの春の多かった花粉や黄砂の影響により、顔の肌荒れ・バリア機能低下の方が多かった今春です。痒みやあかみ・ニキビ様の赤い丘疹が見られたり、長くステロイドやプロトピックを外用していた方の中には顔全体に赤みや赤い丘疹・膿疱が見られる“酒さ様皮膚炎”となっている方がいます。
同じく口の周りに赤い丘疹や膿疱ができる"口囲皮膚炎”はステロイド外用歴がない方にも生じます。
現在で分かっている研究や実際の治療について記載のある、東京女子医大の福屋康子先生のマルホセミナーの記事を読みました。

酒さ様皮膚炎・口囲皮膚炎ともに抗生剤の内服が有効であることより、原因として細菌の関与が考えられますが、いわゆる感染症というわけでなく、細菌は炎症を誘発する因子として働くのではと考えられます。つまり、細菌の増殖(+ほかの因子)により何らかの機序を介して炎症が引き起こされると考えられています。

福屋先生によると、
もともと体質的にある細菌を保有 または、 どこからか定着しステロイド外用で細菌が増殖して発症。
⇒ ステロイドやプロトピックを外用している間は抗炎症効果で、症状が抑えられ、軽快しているようにみえる
⇒ 外用を続けると細菌はさらに増殖
⇒ 外用を中止すると炎症は一気に進み、皮膚症状は悪化
⇒ 抗菌剤を開始すると、細菌が減少するまで時間がかかるために炎症は少し長引くが、細菌が減少すると炎症も徐々に軽快

酒さ様皮膚炎は、ステロイド外用を行うすべての人に生じる訳ではないため、トリガーとなるような細菌の保有や、自然免疫機構の異常などの体質的要因があるのではと考えられています。確かにステロイド外用している全ての方に生じてはいないような気がします。

一方、以前から、ステロイド外用歴の長い方や、外用歴のない方でも、顔の血管拡張系の赤みやニキビ様の丘疹のあるいわゆる“酒さ”の方とニキビダニとの関連が指摘されてきました。
田邊 洋先生(天理よろづ相談所病院)の論文によると、顔の毛包脂腺に寄生するニキビダニ(毛包虫)は、一定数では病的害は起こさず、むしろ脂質の分解や真菌・細菌の貪食を通じて皮膚常在菌の恒常性を保ち皮膚の健常化に役立っているため、無症状の皮膚ではニキビダニを治療する必要はありません。
顔の赤みや毛細血管拡張・膿疱が特徴の"酒さ”の方では、通常の方に比べてニキビダニの有病率が高く、70%といわれています。
過剰なニキビダニの増殖は毛包や皮脂腺の閉塞させて皮膚バリア障害を生じます。
酒さの方は皮膚が過敏になり皮膚バリアが低下していますが、これにもニキビダニの増殖が関連しています。
ニキビダニの増殖を防ぐには、一番は適切な洗顔、適切で新しいスキンケア商品や清潔な化粧パフの使用、むやみに触らない、などが挙げられます。当たり前のようですが、多忙でストレスフルな日々のなかでは気をつける重要な事項です。

ニキビダニ増殖に伴う"酒さ”の治療としては、テトラサイクリン系抗生剤の内服・メトロニダゾール(ロゼックスゲル)外用やイオウカンフルローション外用(カサカサしない程度に上澄みのみ)などが挙げられ、有効性も高いです。スキンケア製品ではアゼライン酸入りの製品などもすすめられます。この1年くらいで酒さの赤みにも有効なロゼックスゲル(メトロニダゾール)が保険適応で処方できるようになり(ゆっくりとジワジワ効いてくる)少し治療の選択肢が増えてきました。
単なる"ニキビや肌荒れ”ではない"酒さ・酒さ様皮膚炎・口囲皮膚炎”の情報を今後も集めていきたいと思います。

 

認知症の実母の今後のケアを考え、姉と一緒に何か所か有料老人施設の見学にいっています。二人の行きやすい場所で実際の入居者の方々の様子を見て母の姿をイメージできる場所、都会でも毎日のダイニングからお庭の緑が見える場所、など実際見に行くと良くわかります。今はスタッフも皆さま若く明るく、お元気な方も多く入居されていらっしゃる様子で、どこも穏やかな明るいイメージです。
ずっと母と過ごしてきた父の思いや体調も考えながら、私たち自身の生活や体調も上手にバランスをとるのは難しい限りですが、姉と思いを共有しながら相談しながら考えられるのは有難いと実感します。現実には一人ですべて背負うのはなかなか大変です。

親たちのヘルプをするためには自分たち自身の体力と気力が重要です。
引き続き有酸素運動で体力を、出来ればヨガなどでストレッチ、あとは毎日前向きに仕事をすること、を引き続き心掛けていきたいと思います。

高校生になった娘達はまあまだ日々機嫌は変わりますが、よく喋るときはうるさいほど喋ります。ついつい色々親としては言いたくなってしまいますが、SNSで高田純次さんんがおっしゃっていた事をなるべく心掛けるようにしています。
高田さんが、若者に対して気をつけていること=説教をしない・自慢話をしない・昔話をしない
案外難しいことです。特に相手が自分の子供だと…。 でも高校生になると徐々に反抗期も過ぎ、少し大人として冷静に対等に関係を築いていく、ということを今年の目標にしたいと思います。

 

 

フェムゾーンの美容医療について

マスクも外す時間も増え、4月からの新生活を楽しみにしていらっしゃる若い患者さんに接すると春がきた喜びとともに嬉しくなってきます。ニキビの治療や顔のいぼや稗粒腫治療で来院される方も増えてきました。

美容皮膚科雑誌“ベラペレ”の特集で慶田朋子先生(銀座ケイスキンクリニック)・関口由紀先生(泌尿器科 女性医療クリニックLUNA理事長)・川島眞先生(東京女子医大皮膚科名誉教授)のフェムゾーンに対する美容医療を読みました。

近年VIOのレーザー脱毛をされる方も多くなり、脱毛後に自分のフェムゾーンの変化に気が付き受診される方もいらっしゃるようです。外陰部の黒ずみやたるみなど外観上の変化や、外陰部のかゆみ・乾燥・いたみ、また頻尿・尿漏れ・再発性膀胱炎など、主訴は様々で、2014年からは閉経関連尿路生殖器症候群(GSM:genitourinary syndrome of menopause)と提唱されています。関口先生によると、閉経後女性の約50%が何らかのGSMの症状が認められるそうです。外側の大陰唇はたるみ、内側の小陰唇は肛門部位から徐々に短くなり、最終的には消失していきます。前側にある陰核(クリトリス)は徐々に奥まって閉じていきます。また、尿道口は本来は縦長に締まっていますが徐々に丸く変形し、尿漏れなどの症状をおこします。日本人女性は欧米人にくらべセクシャルアクティビティを行う方が少ないため、GCMに悩む方がまだ少なく、少し痒みが出ても市販薬を外用したり、自主的な骨盤底筋トレーニングを行っているのが現状です。

とはいえ、私たち皮膚科医がご相談を受けた際は以下のような皮膚疾患を除外することが大切です。

性器ヘルペス、梅毒(扁平コンジローマ)、ボーエン様丘疹症、尖圭コンジローマ、
硬化性萎縮性苔癬、女房外パジェット病、有棘細胞がん、
亜鉛欠乏性皮膚炎、固定薬疹、扁平苔癬、乾癬、
外陰部カンジダ症、股部白癬、紅色陰癬
外陰部皮膚掻痒症、脂漏性皮膚炎など

黒ずみに関しては、50歳ごろまでは女性ホルモンにより黒くなるのが正常で年齢とともに徐々に薄くなってきます。慶田先生はそれでも気になる方に対して、ピコレーザーによるトーニングを3~4回程度、以降3か月ことにメンテナンス、関口先生は弱いモードのフラクショナル炭酸ガスレーザーにて治療されていらっしゃるそうです。すこしでも薄くなる治療があるようだと心強いですね……また、50歳以降の黒ずみの原因は主に痒みや炎症後の色素沈着が多いそうなので、摩擦を徹底的にさける、かぶれを早く治す、なども大切だそうです。

また、おりものの汚れを気にするあまり肌に合わないシートを毎日使用しかぶれてしまったり、過剰な清潔志向による洗いすぎもトラブルのもととなります。何となく触れるのは怖いと思いがちですが、関口先生によると、入浴時など清潔な時に膣に指を入れて触ってみる、指を入れて指を締めるようにしてみる、中の筋肉を押してほぐすこともお勧めだそうです。

GSM(閉経関連尿路生殖器症候群)に対して普段のお手入れとして、保湿と骨盤底筋トレーニングが重要だそうです(関口先生)。
保湿に関しては、まずは全身用保湿クリーム、効かなければ膣専用保湿剤、さらに効果不十分な場合は性ホルモン入りのオイルやクリームがすすめられます。塗る場所は、大陰唇~小陰唇のほか、膣の前方と、膣内部(指の第一~第二関節入るくらいまで)です。
骨盤底筋トレーニングとしておすすめが、“指を膣に入れ、指を締めつけて持ち上げるように膣と尿道をギュッと締めます。ギュッと締めて息を吐きながら上にグーっと持ち上げ、5秒そのまま、その後リラックス” これを10回繰り返しです。

また、膣のゆるみに対してはHIFU(ハイフ)やEr:YAG(エルビウムヤグ)レーザーが、閉経後の萎縮性膣炎に対してはフラクショナル炭酸ガスレーザーが皮膚粘液を増やして皮膚浅層をふっくらさせるそうです。

今は様々な美容医療器具により、顔だけでなくフェムゾーンの悩みまで治療できる時代になったことがすごいと感じる一方で、恥ずかしいことと蓋をせずに、正しい知識をもった上で自分自身のフェムゾーンに関心を持ち続けることも大切だと思いました。

 

先月は実家の両親のヘルプが増え、子供たちの春休みや行事のお付き合いがあり、自分の運動時間が減ってきたなあ、と思っていましたが、案の定、急に首肩が痛くなり、関節がかたーくなってきました。 これはまずい、と今日は早起きして朝から久しぶりにホットピラティスを1時間しただけですが、股関節がスムーズに、首の痛みも軽減。やはり、運動は何が何でも続けねば、と改めて感じました。
母のショートステイを申し込むのにも少しだけ父にも気を使い、施設にも気を使い、ケアマネさんの意見を聞き……
姉とこの思いを共有できることが唯一救いです。今の自分自身でも分からない少し揺れ動く親への気持ちを、自分の娘たちも将来感じてしまうのかしら、などと考えてしまうともう、娘達にも何も言えなくなってしまいそうです。
考えても100%正しい正解はないと思い、あまり深く考えすぎず、毎日毎日を、真面目に仕事と運動を続けながらその他は “ケセラセラ” で過ごしていきたいと思います。

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