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腋窩多汗症治療のためのワークショック

製薬会社マルホさん主催の大変小規模な皮膚科医師ワークショップに本日午前中参加してきました。全国各地からの先生方のご講演や、少人数での率直な意見交換を通して普段お話できないような先生方とお話が出来て、とても有意義な時間でした。また、直接先生方とお会いし話ができて、コロナが明けたことが実感しました。

まず、盛岡市の佐々木豪先生のお話では、他の疾患の2次的な多汗でないかの見極めの大切さを確認しました。例えば、甲状腺疾患でも多汗を生じることがあるので、そのような続発性の多汗の方が処方薬の"エクロックゲル”や"ラピフォートワイプ”を使用しても、せっかく効果が高い薬が"効かない薬”になってしまいます。また、本来は腋窩の多汗がない方が使用しても同様に"効果がない”と判断されて薬の評判を下げてしまいますので、まずは何かの疾患がベースに無いことを確認し、患者さんにも続発性の多汗症があることをお話し、多汗の原因となる病気の症状が出てきたときに気が付いてもらうことが大切だとうかがいました。また、きちんと多汗症の診断をした方にだけ処方すること、思い込みだけの患者さんを除外することなども確認しました。
次に、患者さんと医師側の治療ゴールの差を埋めるお話をききました。腋窩多汗の患者さんの約40%は"ワキ汗が完全になくなること”をゴールと考えているのに対し、医師側は患者さんが"日常生活を快適に送れる程度に多汗を治療する”ことをゴールと考えます。
少しの汗は必要であること、皮膚にとっても体にとっても汗をかくことは大切であること、を患者さんに伝えることも大切だと確認しました。とても臨床的で実践的なお話でした。

次に福井県の石黒和守先生のお話では、汗のメリットについてのお話がありました。
*皮膚に潤いをもたらし、乾燥から守る 
*汗の中の抗菌タンパクが皮膚の常在菌のバランスを整える 
*ダニなどのアレルゲンを失活させる 
*角質層が剥離してしまうをブロックする(=皮膚バリアを保つ)
また、"汗”(=かいた後の汗)と"発汗”の違いを患者さんに説明し、発汗(=適度な汗をかくこと)は良いことであることを伝えることをうかがいました。

講演の後のグループディスカッションでは、松本市の飯島みわ子先生と佐々木豪先生と、日常の外来での多汗症患者さんとの向き合い方、話し方、治療薬の選択方法など、具体的な情報交換ができました。
普段東京の先生方とお話することはあっても、東京以外の地域の開業医の先生との情報交換はとても濃密で有効な2時間でした。早速明日からの腋窩多汗症の方の診療や、処方薬 "ラピフォートワイプ”と"エクロックゲル”の説明に役立てていきたいと思います。

 

この週末は娘二人が修学旅行で不在、夫も母の日の親孝行の旅行で不在、長男だけのとても家が静かな土日でした。実家にいき家事をやったり、ヨガやfeelcycle(暗闇バイクエクササイズ)を思う存分やろう!と意気込んでいたものの、実家のヘルプのあとは少し疲れて1コマだけのフィールサイクルで終了。40代半ばまでなら何コマまでもこげていたのに…と体力の低下を感じます。今日は講演会のあとの1コマでしたので、多量にかく汗の重要さを実感しながら気持ちよく運動出来ました。やはり、何も考えずに運動することは気持ちよいな~特に帰宅後の子供たちへの家事を考えずに運動することも久しぶりで、修学旅行の有難さをかみしめました。 肌寒い日もありますが、体力維持のためにも、熱中症予防の"暑熱順化”(汗をかくことで体を夏の暑さに慣らすこと)のためにも、汗をかく運動を続けていきたいと改めて感じました。

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