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2023年8月

手の美しさについて

コロナがあけて、ヒトと交流する機会や直に会う機会も多くなりました。マスクを外した今ニキビ・いぼ・ミリウムなどの治療にいらっしゃる方も増えてきました。顔と同様、人前に出やすい部位が手や指です。手が荒れていたり、爪がきれいでないと顔以上に恥ずかしい思いをすることもあります。今月の美容皮膚科雑誌”ベラペレ”の特集:ハンドケアの中で川島先生(女子医大)・古山先生(自由が丘クリニック)・金子えみさん(手のパーツモデル)のお話を読みました。

歳を重ねると、手根骨や筋組織の萎縮・皮膚が薄くなることによって手の甲に影ができたり、血管が浮き出て見えてきます。若い時の血管が見えないふっくらしたシミのない手の甲を取り戻すには、美容医療では、ヒアルロン酸注入やシミへレーザー加療も有効です。ただ手背のシミへのレーザーは炎症後色素沈着が起こりやすいため、IPL(光治療)を何回か重ねる、もしくは、ハイドロ・トレチノイン外用療法を薦める先生もいらっしゃいます。手のパーツモデルで有名な金子さんが日常で気を付けていらっしゃることは、

顔と同じくらいに、化粧水・保湿クリームをマメにつける

手が濡れたら水分をすぐ拭き、早めに保湿する

洗剤使用時のゴム手袋使用前に保湿クリームをたっぷり塗り、ポリエチレン手袋をはめてからゴム手袋をはめて密封療法を兼ねる

日焼け止めを毎日使用する

だそうです。何より継続ですね。 毎日のちょこっとの気遣いで、美しい手を目指したいていきたいと思います。

 

手湿疹のある方は、7割をしめる"刺激性接触皮膚炎”と、"アレルギー性接触皮膚炎”・"アトピー型手湿疹”に分けられます。

刺激性接触皮膚炎は物理的・化学的刺激により利き手の指先や爪周囲・手のひらなどに好発し、乾燥やカサカサした紅斑が湿疹化し、慢性化すると皮膚が厚くなり亀裂が出来たりします。夏は汗ぽうが生じ、種々の接触物質や自己汗に対する過敏反応で湿疹化していきます。冬は乾燥で皮膚バリアが低下し、経皮的に接触物質が刺激を生じやすくなります。

アレルギー性接触皮膚炎は、職業性のことが多く、美容師さんや飲食店勤務の方などは手以外に全身に広がることがあり、しっかりとした防御と治療が必要です。

アトピー型手湿疹の治療はアトピーの治療に準じますが、外用もステロイド以外に、コレクチム(JAK阻害剤)軟膏や、モイゼルト(PDE4阻害剤)軟膏、など選択肢が増え、治療しやすくなりました。

手の表皮の下の真皮の8割を占める膠原線維の間に存在する弾性線維は、紫外線により変性し"しわ”を形成します。皮膚に弾力性を与えるために真皮を良い状態を保つことが手の若さの秘訣です。
毎日の紫外線ケアとマメな保湿=地道な努力を続けていきたいと思います。

 

今月半ばに母が実家近くの施設に入居し2週間がたちました。実家には満身創痍の父が一人でいるため、実家通いは変わらずですが、父の負担が少なくなり、私と姉の気持ちの負担も少し少なくなりました。母は夕方になると帰りたいということもあるようですが、それは入所前の自宅にいるときと同じ夕暮れ症候群だと思います。基本的には機嫌のよい時は穏やかに過ごしているようですこし安心です。
私も将来娘たちの負担にならないように母のように認知といえども素直にいたい、と思います。何とか穏やかに暮らしてくれてありがたい限りです。
父は食欲が低下し、一日DAKARAをなんとか2本、ヨーグルトドリンクを1本、おかゆがわずか、の食生活ですが、唯一スタバの"抹茶クリームフラぺチーノをゆっくりと飲むことができます。貴重な322kcalです。姉と交代で週に何回か届けています。体が思うようにならない、食事があまりとれない日々を"情けない。”とこぼす姿に涙が出てきますが、その最後まで日常を続けようとする生きざまは立派です。学ぶものがあります。 とにかく穏やかに毎日過ごせますように、できる範囲でヘルプしていきたいと思います。

 

実家のことで運動時間が取れなくなると、歳のせいか腰の痛みや重さが出てきます。体力維持のためのFEEL CYCLE と最近マシンを使用するピラティスを始めました。ただただ汗をかいてすスッキリするFEEL CYCLEと違い、マシンピラティスは姿勢を意識して終わると背骨がまっすぐに修正されたような気分になります。ピラティスの先生は皆さまとてもスタイルが良く、その姿を見ているだけで気持ちが上がります。マシンを使った方が初心者にはとてもやりやすく、ピラティスはきつい、というイメージが覆りました。しばらく普段の姿勢の修正治療のために続けていきたいと思います。

アトピー性皮膚炎の内服薬"サイバインコ”について

あっという間のお盆時期になり台風の影響が心配されるこの週末です。

7月はあっという間に毎日が過ぎ、勉強会でうかがったJAK内服薬の"サイバインコ”をまとめるのが遅くなってしまいました。

サイバインコはJAK(ジャック)というアトピーの炎症に関与するサイトカインが活性化させるのを阻害させてアトピーの炎症や痒みを抑える飲み薬です。具体的には、IL4,IL13,IL31のアトピーの炎症や痒みに大きく関与するサイトカインを抑えることで効果を発揮します。

対象として、今までの治療で効果が乏しかった12歳以上のアトピー性皮膚炎患者に処方できます。
海外のデータですが、アトピー性皮膚炎の患者さんが青少年の場合、症状がある程度悪化するとその両親のQOLも低下させることがわかっています。特に、頭部・顔・首・手指・手に病変がある場合よりQOLが下がります。
具体的にはある程度の検査のうえ、12歳以上の方に一日1回、100mg錠もしくは200mg錠を投与します。飲み薬のため注射剤と異なり痛みもなく内服できます。痒みは早い方で2週間でかなり実感され、2週間で200mg錠の場合はデュピクセント注射剤よりも痒みの抑制が優れているという結果も出ました。

副作用として、免疫機能を下げることより、帯状疱疹や単純ヘルペス、ニキビ、風邪症状が代表的で、まれに肝機能障害・血小板減少・間質性肺炎・静脈血栓塞栓症などがおこるため、定期的な採血や検査が必要になります。

事前の検査でも、肝機能・肝炎ウイルスを含めた血液検査と、結核を否定するために胸部レントゲン検査が必要です。

内服開始してからは、具体的な目標を設定しそれに向けて寛解(良い状態を保つ)維持することが大切です。痒みに早期に効くJAK内服薬は何種類か処方できるようになり、ますます期待できる治療薬です。
具体的には、痒みで眠れなかった夜が眠れるようになり、勉強や仕事に集中できるようになる・痒みを感じない日はなかったが痒みを感じない日が増える・痒みが出たとしても薬を外用すればすぐ良くなる・半袖を着られるようになる・など、通常の方では当たり前のことが可能になります。

薬価はまだ高額で、3割負担の方では100mg錠の場合1か月で45000円、200mg錠の場合1か月で68000円となります。会社の付加給付制度や高額医療費制度を利用して負担を軽くできる場合もあります。
今まで諦めていたような痒みを伴うアトピー性皮膚炎に対し様々な内服薬や注射剤が出てきたことは本当に良いことです。
今後も諸先生方の講演会で情報を集めていきたいと思います。

 

この夏の間に実父の体調や体力もだいぶ落ち、認知の母を面倒見ることにも限界がきたため実家近くの有料介護付き施設への母の入所契約を行い、いよいよ入所することになりました。契約の手続きや部屋へ入れる家具の購入など、姉とともにバタバタとこの夏休み中に行いました。
母もいざ入所すると元来の社交的な性格で徐々に慣れてくれることと思います。
ショートステイ中も最初は"帰りたいコール(認知の母にとっては帰る=今の自宅へではなく、祖父母と昔住んでいた母の実家のようです)”だったようですが慣れてくると施設の若いお兄さんスタッフとお喋りしてもらって少し楽しそうな様子に少し安心。本当に自分の子供が幼稚園に入園し慣れてくれるかしら、と心配する気持ちにそっくり。
認知になってからも仲間の集まりに誘って面倒を見てくださっていた母の古い友人たちにも少し報告しました。本当に皆さまに感謝です。

母の認知の症状も時と場合により、突然怒りの感情が出てきたりお金に厳しくなってきたり、教科書通りに進行していると感じることもあります。突然怒りだす母をみると今だ涙が出てきてしまいますが、なるべくそのような母の姿はすぐに忘れて良い面だけをみるようにしています。自分の感情を守るためにも…

母の姿は将来の私たち姉妹の姿と重なり、学ぶことがあります。比較的明るく社交的だった母の面影を残す現在の様子に、同じ認知症でもこうありたいと思ったり、昔と変わらず接して面倒をみてくださる古い友人方の真似ができるようになりたいと思ったり。
人生なんてあっという間。私が今度はその番になるのだろうな、そして今私や姉が感じていることを将来娘たちが感じるようになるのかな…と思うとなかなか娘たちに強いことが言えなくなってしまうのが難です…

高1の娘たちは夏休みの宿題としていくつか大学のオープンキャンパスに行っています。高1の秋以降少しずつオープンキャンパス後大学受験にむけてスイッチが変わるお子さんもいるようですが、娘たちはキャンパスの場所と雰囲気を感じるのみ。高1JK夏休みを満喫!と遊びの計画でご多忙な夏の日々です。あっという間に夏休みも終わりますね。

 

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