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最近の新しい治療薬について

暖かかった11月が本来の秋らしい気温になりあっという間に乾燥の季節になりました。
先日、といっても少し前になってしまいますが、レオファーマさんのアトピー性皮膚炎の治療薬(生物学的製剤・皮下注射剤)"アドトラーザ” についての勉強会をやっていただきました。
 生物学的製剤とは、最先端の技術により生物から産生されたタンパク質を有効成分とする薬で、体内のタンパク質を補うものや、病気の発症に関わる物質を抑えるものがあります。
 生物学的製剤はタンパク質からできているため、内服(口からのむと)すると消化酵素で分解されてしまうため、皮下や静脈への注射剤として投与します。
 アドトラーザはIL­13を抑える薬ですが、このIL13は皮膚の炎症・かゆみやバリア機能低下に関わるサイトカインで、アトピー性皮膚炎患者さんにおいて増えていることがわかっています。アドトラーザでIL13を抑えることにより、皮膚炎症やかゆみなど皮膚症状を改善させます。
具体的には腕/太もも/腹部のいずれかにシリンジ型のアドトラーザを皮下注射します。
初回が4本、2週間ごとに2本ずつを継続注射していきます。いまのところシリンジ型なので自己注射できず、来院にて注射することになります。

デュピクセントがIL4/13両方の受容体にくっついて蓋をして抑制するのに比べ、アドトラーザはIL13そのものにくっついて抑制します。
IL13の2型炎症反応を抑制し、それにより皮膚のバリア機能および微生物叢の多様性を回復させて、炎症赤み・かゆみ・皮膚肥厚を軽減すると考えられています。
 適応になる方は15歳以上で、今までの治療で効果不十分な中等度以上のアトピー性皮膚炎の患者さんとなります。薬価がまだやはり少し高く、1か月目が3割の方で約52,000円、2か月目以降が3割の方で約35,000円くらいとなります。まだまだ高額ですが、デュピクセントの副反応で起こりうる結膜炎の発症率もアドトラーザではかなり少ないようですし、選択肢の一つになるかと思いました。
また今後も情報収集をしていきたいと思います。

もう一つの新しい治療薬として、リットフーロという難治性円形脱毛症の内服薬です。

円形脱毛症の従来の内服薬"オルミエント”がアトピー性皮膚炎など他疾患にも適応がある中で、"リットフーロ”は円形脱毛症唯一に対して開発された飲み薬です。円形脱毛の炎症に関わる"JAK3”(ヤヌキナーゼ3)と"TECファミリーキナーゼ”という炎症性サイクルを阻害する内服薬で、従来の難治性・全頭型脱毛症の患者さんの脱毛面積の改善が大きく期待のできる薬です。
従来の薬が15歳から適応であったのに対し、リットフーロは12歳からの適応になり、12ー15歳の患者さまにとって朗報となります。

昨日リットフーロ発売記念講演会(坪井良治先生・大山学先生・木下美咲先生・乾重樹先生・原田和俊先生・植木理恵先生・伊藤泰介先生)がありウェブ聴講いたしましたが、幼少時期より罹患する方にとっては12歳になれば治療スタートでき、低年齢だからといって副反応(帯状疱疹や感染症)や安全性に変化がないということは喜ばしいことです。
 全頭型(100%脱毛面積)の方も多く含めた対象患者さんデータで、半年(6か月)内服で23%の方が脱毛面積20%以下へ改善、1年内服で43%の方が脱毛面積20%以下へ改善する結果は、とても期待できる薬だと思います。
坪井先生が最後に、「リットフーロは円形脱毛症唯一に開発された待望の薬なので、本日の情報を明日からの臨床に生かしながら、皮膚科医が慎重に大切に育てていきましょう」という言葉がとても印象に残りました。

 

 ずっと闘病していた実父が亡くなりました。最後まで頭はしっかりしていたのでずっと在宅医療をうけながら自宅で一人電動ベットの上で過ごしていたのでこの1~2か月は私と姉も交代で夜までもしくは一時は泊まり込みましたが、最後は父の不安も大きく5日間だけ病院に入れていただき最後は穏やかに旅立ちました。私も姉もできる範囲でやり尽くしたので後悔はありませんが、最後まで生への意欲のある父の最後の様子はとても勉強になりました。5人の孫にも会え私たち二人の娘の夫達にも最後まで良くしてもらい幸せだったと思います。
まだまだ姉も私もやることがたくさんありますが、父の希望通り祖先のもとに導かれていけますように納骨まではしっかりとやるべきことをやっていきたいと思います。
娘たちも息子も、身近な祖父が亡くなった後も一時ショックを受けたとしてもすっかり全く通常運転。もちろん当たり前ですが、若さの生命力を感じます。若いって素晴らしい。たくましい。と改めて思います。私自身も昔はそうで、母や父ももしかしたらそう思っていたのかもしれないなあと思うと自分の年齢経過を心から実感しました。

 

 

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