小児アトピー性皮膚炎の治療とモイゼルト軟膏・デュピクセント注射について
暖かい日が多い12月となりました。大きな学会は年末はありませんが、ウェブ講演会は引き続き今月もたくさんあり、勉強する機会はたくさんです。
先日は発売1年半以上経過したアトピー性皮膚炎の非ステロイド外用薬"モイゼルト軟膏”の大塚製薬主催の講演会で、主に小児のアトピー性皮膚炎についての講演会で、国立成育医療センターの大矢幸弘先生の講演会をききました。
生後3か月のアトピー性皮膚炎のある赤ちゃんでは食物抗原の感作を受ける危険が高くなり、皮膚の炎症が食物アレルギーに先行することがわかっています。成育医療センターにおいて生後4か月までに湿疹を発症した子を追っていくと、3歳時に食物アレルギーのリスクが上がることがわかっているそうです。
また乳児期発症のアトピー性皮膚炎の子供の6~7割は小学生までに自然に治るといわれていますが、約1割は、小学生以降も続いてしまうことが報告されており、乳児早期発症持続型としてしばらく治療が必要になります。
最近では妊娠中・授乳中の母がアレルギー食物を摂取制限しても子供の食物アレルギー発症は減らないことは周知の事実で、アトピー性皮膚炎の乳児の多くは離乳食スタート前から食物抗原に感作されています。
これらの事実から皮膚の炎症があるところから経皮的に抗原の感作が成立するとアレルギーとなり、炎症のないルートでのアレルゲン挿入(食事として摂取するなど)は免疫寛容を獲得することがわかっています。
つまり、アトピー性皮膚炎など湿疹のあるハイリスク児においては、5歳までピーナッツを除去した場合よりも、乳児期からピーナッツを摂取した方がピーナッツアレルギー発症は少なく、卵アレルギーにおいても1歳まで卵を摂らなかった群は38%が卵アレルギー発症したのに比べ、生後6か月から卵を摂った群は8%しか発症しなかったそうです。いまは早くから口から摂取した方がよいのですね。
また、乳児のアトピー性皮膚炎が出たときは皮膚の治療を受けるまでが短い方が、食物アレルギーリスクが低下することから、早期に徹底的に皮膚の治療を行うことが大切であると考えられています。
とにかく早くから加療により、皮疹ゼロの状態に寛解導入し、寛解を維持することが大切です。
モイゼルト軟膏はアトピー性皮膚炎の炎症サイトカインを抑えるのみでなく皮膚の角質バリアを強くすることがわかっており、使用制限もなく大きな副作用もないゆっくりとジワジワきいてくる外用薬です。
一見正常に見えるけれど皮下に炎症が存在するアトピー英皮膚炎のザラザラ部位にもとても有効です。小児は2歳以上から使用できますので、この季節の変わり目のアトピー性皮膚炎の悪化時からの寛解維持にはおススメです。
また、今まで15歳以上の適応であったデュピクセント注射も、生後6か月以上の乳幼児・小児アトピー性皮膚炎にも使用できるようになりました。もちろん年齢や体重により、注射の量は変わりますが、乳幼児からでも大きな副反応がなく安心して使用できる治療としてあげられます。
乳幼児にしっかりと皮疹ゼロを目指し、食物アレルギーも予防すること何より大切であり、保湿やステロイド外用に加えコレクチム軟膏・モイゼルト軟膏の選択肢が増え、デュピクセント注射剤も選べるようになり、しっかり早期に治療し、寛解維持(良い状態を保つ)を目指すことが出来るようになったことは喜ばしいことです。
父の葬儀も無事に終わり、今月末の納骨を待つのみですが、死後の手続きや納骨準備、葬儀参列の方への御礼などやることもナカナカです。葬儀では慕ってくれた後輩や仲間の方から生前の父の様子・家庭とは違った面を初めて聞けたりして娘として嬉しかったです。やはり家族葬であっても葬儀をきちんと行うことは大切だと実感しました。実家の片付けをしているとどうしても最後の父の介護ベッドでの生活を思い出し、さみしさ半分、でも父も満足してくれたはずという安心感半分、まだ有料施設にいる母のことも思い出し、やはり両親への感謝の気持ちがあふれてきて涙が出てきます。誰もが通る道、ですがこうして素直に両親に感謝できることも娘としては幸せであるのだと思います。思いは尽きません。
葬儀が終わり父の介護時期はできなかった、友人との会食や、空手やピラティス・FEEL CYCLE も再開し始め、自分の習い事や生活に集中できる幸せを有難く思います。
やはり健康であることは何より有難く、食事・睡眠・運動を大切にしながら多忙な年末を過ごしていきたいと思います。
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