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2024年1月

アトピー性皮膚炎の抗体製剤 "アドトラーザ” 講演会

1月に入ってから早速様々な講演会や勉強会が行われています。先週末はアトピーの注射製剤"アドトラーザ”の発売記念講演会があり、中原先生(九州大学)・山中先生(三重大学)のご講演を聞きに行きました。

アドトラーザは、アトピー性皮膚炎の病変部と非病変部にも過剰に発現しているIL13(インターロイキン13)を抑制する抗体製剤で、2週間間隔で皮下に注射します。使い方はIL4/IL13の両方をブロックする"デュピクセント”と似ています。デュピクセントと異なることは、IL13のみに特異的に結合して働きを抑える点です。

IL13は皮膚の角質細胞の皮膚バリア機能を低下させ、抗菌タンパクも低下させ、さらに角質細胞からの炎症サイトカインの産生を増強させてアトピー性皮膚炎の炎症に大きく関与します。
IL4は主に中枢で機能するサイトカインであるのに対して、IL13は主に皮膚局所などの末梢で機能するサイトカインということがわかっています。

アトピー性皮膚炎のほぼ全例でIL13遺伝子の過剰発現が認められるのに対して、IL4はアトピー性皮膚炎の皮膚の40%に認められることがわかり、IL4は発現量は限定的と考えられます。またIL13と特異的に結合する受容体は、皮膚を掻くことによって増えることがわかっていますが、IL13はさらにこの受容体を増加させて炎症を増強させる という悪循環をつくると考えられています。

まとめると、IL13はアトピー性皮膚炎において ①皮膚バリア機能の低下 ②皮膚感染の増加 ③炎症 ④痒み ⑤皮膚の肥厚(苔癬化)を起こすと考えられています。特に炎症が長期にわたる慢性期にはIL4遺伝子の発現量が減少していくのに対して、IL13 遺伝子の発現量は慢性期にも上がり続けることが分かりました。長期にわたると皮膚が盛り上がり硬くなるいわゆる"苔癬化”の要因の一つと考えられています。

"アドトラーザ”は、長期に発現し増加し続けるIL13を抑制することで、長期に接種し続けても良い状態を継続できること、長期にわたり効果が下がらず改善率が維持されていること が特徴です。確かに最初は効果があっても長くなると効果が下がってしまう薬より、効果を維持し続けるということは重要です。

効果が持続することで、長期にわたるコントロールができること、デュピクセントに比べて結膜炎の副反応の出現が低いことが今のところ特徴です。山中先生はご使用経験から、アドトラーザは即効性(早く効く)もあるとお話されていました。

アトピー性皮膚炎すべて全例で全ての皮膚に過剰発現しているIL13にターゲットをしぼった"アドトラーザ”注射剤は今後長期にわたるコントロールに適した薬剤であると思います。また随時新しい情報を吸収していきたいと思います。

シリンジ型の注射剤を初回4本、2週間ごとに2本ずつ、腹部に皮下接種していきます。年齢は15歳以上のアトピー性皮膚炎の方に使用できます。保険が適応されますが、3割負担の方で、最初の月のみ52000円、翌月から35000円くらい注射代がかかります。また、新薬のためまだ今のところ自己注射ができず、通院で院内で打つことになります。

デュピクセントとの使い分けに関しても今後また情報を収集していきたいと思います。

 

1月もあっという間に過ぎ去ろうとしています。実家の介護生活がなくなり、自分の生活や仕事、運動に集中できる幸せを感じています。週2日のfeel cycleで汗をながし、空手も週一日だけ継続しています。 毎朝の弁当詰め(作る、というより詰めてるのみ)と仕事、睡眠と週末の運動であっという間の1週間ですが、今のところ健康でいることに本当にありがたさを感じながら野菜多めの食事と運動に留意しながら、あっという間の冬を乗り切りたいと思います。

女性誌や美容皮膚科の分野でご活躍されていた、滋賀県でご開業の美容皮膚科医 居原田麗先生が42歳の若さで今月御逝去されました。この3年ほど癌で闘病されていたことを女性美容雑誌でもご報告されていらっしゃり、ブログやインスタで闘病の様子も書かれていらっしゃいました。まじめで何より最後までとても美しく、何より闘病中も明るく前向きに、美容皮膚科の最新の分野にも、ご自身のご病気にも、4人のお子様への子育てにもまじめに真剣に生きていらっしゃり、本当に心を打たれていました。何より、本当に強く、美しいです。美しさとは見た目のみでなくその方の生き方や考えをもあらわすものだと居原田先生のSNSを拝見し今改めて思っています。もっと患者さんの美しさを上げる、その方それぞれの生き方を変える最新の美容医療情報を学び続けたかっただろうなと居原田先生の無念に思いを馳せると、私自身ももっと引き続き学んでいきたいと改めて思います。直接存じ上げませんが居原田先生を心よりお慕い申し上げます。ありがとうございました。

慢性蕁麻疹の最近の知見

年末年始は千葉の義母に家族で久しぶりに会いに行ったり、運動したり、いとこたちと新年会したりと、ゆっくりと過ごしています。

11月の皮膚科学会雑誌の慢性蕁麻疹についての最近の知見(神戸大学・織田好子先生)を読みました。慢性蕁麻疹の患者さんは臨床的にも多く、最近の知見を興味深くチェックしました。

特発性蕁麻疹のガイドラインによると、抗ヒスタミン剤2倍量・もしくは2剤併用で効果が乏しい場合は、保険適応外ですがヒスタミン2(H2)受容体拮抗薬や抗ロイコトリエン薬を、さらに効果弱い場合はゾレア注射・少量ステロイド内服・保険適応外のシクロスポリン内服などを考える、となっています。ステロイド内服は一か月以上減量や中止の目途がつかない場合は他への治療への変更を検討する必要があるとしています。

ゾレア注射は蕁麻疹症状を抑制する効果はあるが、"治癒”までの期間を短縮する効果についてはエビデンスが乏しいとされています。
ですから、ゾレアの治療効果を予測することは大切ですが、報告によると
・自己血清皮内テストが陽性 ・血清中総IgEが低値 ・好塩基球が低値 ・好酸球数低値
は治療効果が乏しい予測因子とされています。

逆に、自己血清皮内テストが陽性であり、血清中の総IgE値が低い症例は、シクロスポリンが効果的と報告されています。

次に、広島大学の高萩先生・松尾先生・坂本先生の論文”刺激誘発型の蕁麻疹”について読みました。

クリニック受診の蕁麻疹の患者さんのうち特発性蕁麻疹が80%であるのに対して、刺激誘発性蕁麻疹は18%と報告されています。

刺激誘発性は、機械性蕁麻疹・コリン性蕁麻疹・寒冷蕁麻疹・温熱蕁麻疹・日光蕁麻疹・外来物質過敏症の部分症状としての蕁麻疹、に分けられます。刺激誘発性の特徴として、通常は2時間以内に消失すること(遅延性圧蕁麻疹は除く)、毎日規則的に皮疹のみが出没するのではなく誘因に曝露したときに限って皮疹が間欠的に出現すること、が挙げられます。
治療に関しても通常の抗アレルギー剤のみでは困難で、誘因への対処が必ず必要になってきます。

遅延性圧蕁麻疹はベルトや下着の圧迫部位や掌・足底・臀部など持続的な圧がかかったあと6~8時間後に皮疹が誘発され72時間(3日間)まで続くのが特徴です。圧の誘因を避けるのみでなく、単剤の抗ヒスタミン剤では効果が乏しく抗ロイコトリエン薬(シングレア)の併用やゾレア注射の有効性も報告されています。
また、発汗や運動・辛い食事などでチリチリする強い痒みを生じるのが特徴的な"コリン性蕁麻疹”では、全身性の無汗や減汗を伴う減汗性コリン性蕁麻疹を考えることが必要です。
治療ですが、通常のコリン性蕁麻疹では抗ヒスタミン剤は40%の方しか効果が得られないといわれており、やはりゾレア注射は抗ヒスタミン剤抵抗性のコリン性蕁麻疹患者さんの70%に有効であると報告されています。減汗性コリン性蕁麻疹では、抗ヒスタミン剤の効果が乏しい症例に対して疼痛やうつ熱症状が強い場合はステロイドパルス療法が考慮されます。

慢性蕁麻疹といっても種類も原因も治療もまちまちで奥が深いものだと改めて実感し今後も新しい情報を集めていきたいと思いました。

 

母が入所し父が亡くなったあと誰もいない実家の片付けに度々行きますが、時間があるときは徒歩30分くらいかけて早ウォーキングをするようにしています。高齢者向けの身体活動ガイドラインでの推奨量を歩数に換算すると、6000歩以上になるそうです。
ウォーキングは誰にでもできる有酸素運動といわれています。FEEL CYCLE で楽しく45分の有酸素運動を、普段の生活の中で早ウォーキングでも少しでも多く有酸素を心掛けていきたいです。本当はこの上に筋トレなどの無酸素運動やヨガやストレッチなどの柔軟性運動を追加できると理想だと思いますので、今年はどちらかをまずは追加していくことを目標にしたいと思います。
また今年は専門医ポイントもまたとらないとならないため、日曜日参加できる学会をできるだけ参加し、いろいろな最新情報を集めていきたいと思います。

 

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