治りにくい結節性痒疹と多形慢性痒疹について
通常よりも温かい2月の東京ですが、汗もあまりかかずまだまだ皮膚も乾燥しやすい時期です。
通常のアトピー性皮膚炎や乾燥による湿疹、蕁麻疹にくらべ、硬い小さな結節が四肢に多発する"結節性痒疹”や、赤い丘疹のまわりに蕁麻疹のような紅斑が主に体幹に広がる"多形慢性痒疹”は、普通のステロイド外用や抗アレルギー剤内服で治りにくく、慢性化しやすい疾患です。
今月の皮膚科学会雑誌に宇賀神つかさ先生(東京医科歯科)と波多野豊先生(大分大学)の論文が掲載されていました。
様々な大学の最近の研究より、結節性痒疹にはIL4やIL31などTh2サイトカインや尋常性乾癬の病変部でも発現されるIL17も多く発現されることがわかり、乾癬様の免疫反応も関与することがわかっています。また、結節性痒疹は表皮が不規則に厚くなり、真皮に好酸球が浸潤しているのに対し、多形慢性痒疹では結節性痒疹よりも末梢血の好酸球が高値であり、早い時期から深い真皮に好酸球やリンパ球が浸潤し蕁麻疹様の紅斑がでてくるものと考えられます。
結節性痒疹では病変部で肥満細胞が増加し、ついで好酸球や好中球も増殖しており、真皮では末梢神経が肥厚かつ増生していて、免疫系かつ神経系の両方の変化から "痒くて引っ掻くとまた痒疹が悪化し痒みがより悪化する” という悪循環サイクル(itch-scratch サイクル)が生じると考えられています。また角層バリア機能が低下すると肥満細胞からヒスタミンが遊離されるため、角層バリアを低下させるような長期間のステロイド外用よりも、炎症がおさまった後はプロトピック軟膏やコレクチム軟膏など角質バリアをあげ痒みにも効果のある外用薬も有効性が報告されています。
痒疹の痒みについてもアトピー性皮膚炎と同様に、ヒスタミンに関与しない非ヒスタミン依存性経路による痒みが強い場合は、シクロスポリン内服・デュピクセント注射、JAK阻害剤内服(オルミエント、リンボック、サイバインコなど)、ミチーガ注射などが効果が期待でき、実際有効であるとの報告が多いですが、このうち保険適応があるのはデュピクセント注射のみとなります。
多形慢性痒疹の治療についても同様に、ナローバンドUVBやデュピクセント注射・ミチーガ注射などのほか、IgE抗体であるゾレア注射も有効性が報告されています。
今までは難治性だった結節性痒疹や多形慢性痒疹ですが、最近のアトピー性皮膚炎や蕁麻疹の治療の進化にともない治療コントロールが可能になってきています。保険適応はこのうちデュピクセントに限られますが今後も適応が増えてくることと思います。また情報を集めていきたいと思います。
相変わらず姉と分担して実家の片付けや相続税に必要な資料を集めたりしています。父のモノを片付けたりしていると、あれもしてもらった・これもしてもらった、と親から与えられた愛情を感じ感謝の気持ちでいっぱいになります。亡くなる直前の介護が大変だった日々の思いは見事に忘れ、父の良い面だけが思いよぎってきます。そんなものですね。
今は入所している母と、元気ですが一人で暮らしている義母が穏やかに毎日過ごせるようにできることをやっていくのみです。
先日、母の旧知のお仲間ご友人方がホームに面会に来てくださいました。はっきりと覚えてはいなくても昔の記憶にあったであろう心許せるご友人の温かい言葉やお話に母の顔も和み、素敵な時間を過ごすことができました。心許せるご友人、本当に有難い…
母の笑顔をみると心の許せる友人方のお気持ちって通じるものだと感じました。私も将来どうなったとしても心許す友人には変わらず会いに来てね!と伝えておきたいと思いました。
自分が経験して学ぶことはたくさんあります。親の介護や見送りも、親の認知症もやはり経験してはじめてわかることがあり、いま感じているこの思いを忘れずに周りを思いやれる人になりたいと思います。
まだまだ寒い日もあり体が縮こまりやすい冬ですが、週末は汗をかく運動を続けて体力をつけていきたいと思います。
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