細胞外マトリックス(ECM)ブースター加療について
風邪や花粉の時期も終わってマスクも外す生活も増え、コロナ以前より美容などのご相談も受けることが多くなってきました。美容の専門加療は行っていませんが、適切な病院や先生へご紹介できるように、ある程度の美容知識も必要だと実感します。
定期的に購入している美容皮膚科雑誌 "Bella Pelle ベラペレ” に細胞外マトリックス加療の特集があり、川島眞先生・今泉明子先生・鎌倉達郎先生の座談会のお話をチェックしました。
美肌を表面のみからでなく、土台から作ろうとする傾向は今後も注目されていく分野です。
細胞外マトリックス(ECM)は真皮の中の線維や細胞の間質成分で柔らかいゼリーのような物質です。具体的には線維芽細胞から生成される、コラーゲン・エラスチン・ヒアルロン酸・コンドロイチン硫酸などで構成されています。
ECMが減少するとシワやたるみ等の形態変化だけでなく、皮膚の免疫力低下をもたらすと考えられています。ECMは細胞間のみでなく、細胞と骨格を結び付けているため、骨格も維持できなくなり表皮・角質のバリア機能や破綻が起こり、皮膚老化やトラブルのきっかけとなります。
ECMを刺激することで線維芽細胞の機能を高めて美肌効果を高めようと、ECM加療が注目を浴びるようになってきました。
ECM治療は、線維芽細胞を介してコラーゲンやヒアルロン酸を増やす治療ですが、従来の直接注入ではいわゆる"過注入症候群”や、血流障害の可能性がゼロではなく皮膚壊死などのリスクがあることから、慎重に行う必要があります。また、自分の線維芽細胞を取り出して培養や凍結保存して再び戻す治療の研究も進んでいますが、若い時の線維芽細胞でないと効果が期待できないため、若い時に凍結保存しておかなくてはいけないという課題があります。
また、同じように線維芽細胞を介してコラーゲンやエラスチンを増やす目的で用いられるものに、線維芽細胞増殖因子(FGF)があります。高い効果が期待できそうですが、FGFは増殖因子である以上、いったん過剰な増殖が起こってしまうと抑えきれなくなる危険性や、注入後かなり時間が経ってから増殖が起こるリスクがあることが問題です。ですから、FGFの注入は単独では行わず、十分に濃度を希釈したものを他製剤に混ぜて使用するのが一般的であり、使用経験豊富な専門医が使用することが必要です。
ECM製剤(ECMブースター製剤)は多くの製剤がヒアルロン酸とアミノ酸の組み合わせで構成されています。単にボリュームを出すだけでなく、ECM(細胞外マトリックス)に働きかけて土台からリモデリングし肌を再構成させ、自然の若々しさをめざします。
製剤の中には、低分子・中分子・高分子ヒアルロン酸すべてが含まれたハイブリッドヒアルロン酸製剤もあり、低分子が血管増生・中分子が線維芽細胞からのコラーゲン・エラスチンの産生増加、高分子は保湿と抗酸化の目的で配合されています。
ECMブースター製剤の短所としては、直接注入に比べて効果発現まで時間がかかること、注入回数を重ねる必要があることです。回数を重ねた場合問題となるのが異物反応ですが、製剤により(低分子の架橋製剤)遅発性結節が起こることがまれにあるそうです。
一般的には、ECMブースター製剤を目の周りに打ち、従来のヒアルロン酸(架橋剤)で顔全体のリフトアップを行うなど使い分けることが一般的だそうです。
ECMブースター製剤は
・注入する層が製剤により異なるため、正しい深さに注入する必要があること
・コラーゲン・エラスチン増生による美肌・引き締め効果または、ナチュラルなボリュームアップと保湿効果、どちらを目的にするかにより製剤も異なるので使い分けて薬剤を選択すること
・注入部の膨隆は薬剤の拡散により消失しますが、そのダウンタイムはヒアルロン酸濃度が高いほど時間がかかること
・従来の架橋ヒアルロン酸のみで表層変化まで出そうとすると過注入が起こるため、皮下浅層や真皮のリモデリング効果に対しECM製剤が効果的なため、層により製剤を使い分けるコンビネーション使用することが一般的であること
・即効性と劇的な変化を求める患者さんには向かない一方、自然なアンチエイジングを追求する昨今の考えの中では、主流となりつつあること
など、初歩的なことがよくわかりました。
今後も初歩的な美容皮膚科の知識を少しずつ吸収していきたいと思います。
自宅近くに先月オープンした、”カーディオバー”というバレエエクササイズに3回ほど体験参加してきました。まだ初心者クラスの1時間ですが、バレエのバーを使いながら、体幹トレーニングと少しの有酸素という感じでじっとり汗もかき、ちょうど体幹を整えるにはいい感じでした。少し続けてみたいと思います。
先日、順天堂皮膚科医局の同期3人と10年ぶりに再会し、いろいろ現在の環境と今後の自分達の後半人生について語り合いました。皆開業医として家族もいる環境でなんのために働いているのか、もちろん開業医としての幸せやりがいだけでなく、家族や子供のためだけなく、"自分自身”の幸せのためにこれからも頑張っていこう!ということになりました。一人の同期は趣味のゴルフの日に、晴天の中ゴルフ場を歩いている際にふと、俺って幸せだなあ~と口に思わず出たそうで、そうだよね~、一度しかない人生、"自分自身の”幸せだなあ~と思う瞬間を増やしていきたい、という結論になりました。
私自身も、患者さんからここに受診してよかったです!と言われた時や、安心しました!と自分のことを信頼してくれてると思う瞬間、とても嬉しく幸せになります。そして、日曜日のFEEL CYCLE ・カーディオバーで汗をかいた後、クールダウンをしている瞬間、幸せだなあ~と感じます。健康で気持ちも穏やかに仕事や運動ができているそのことが幸せだと感じます。
今後も健康に気を付けながら、自分自身の"幸せだなあ”と心の声が出る瞬間を増やしていきたいと思います。
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