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イブグリース注射剤について

6月は毎週日曜日に学会講演会が続き、あっという間に過ぎ去った1か月でした。この思いもよらない暑い梅雨の時期、汗でアトピー性皮膚炎症状がいつも以上に悪化する方が多くいらっしゃいます。新しい治療薬が様々出る中で、先週日曜日は一番新しい注射剤である、イブグリースの講演会があり、治験に参加された先生方(立川皮膚科の伊東秀記先生や野村皮膚科の野村有子先生)のお話やとてもたくさんイブグリースを使われている巣鴨千石皮膚科の小西真絢先生、そして帝京大教授の鎌田昌洋先生のお話をうかがいました。

イブグリースはアトピー性皮膚炎の炎症や痒み、皮膚バリアに関与するサイトカインであるIL13にくっつく抗体で、IL13との結合親和性が、同じIL13抑制の"アドトラーザ”よりも高く、より抑制しやすいといわれています。また、デュピクセント(半減期5.1日)と比べて、半減期が21日と長いため万が一やめた後も効果が持続しやすい、つまり、やめた後も急に悪化しなく効果が続くと言われています。
もう一つの利点として最初の1か月は2週ごとに注射ですが、2か月目からは4週に1回で(月1回)効果が変わらないことが分かっているため、最初だけ2週間ごとに来院して打てば、1か月の1回の来院注射ですみます。(まだ自己注射がこの1年できませんが)
1本が3割負担の方で18000円なので、2か月目からは月2万円以内で続けることができます。
また最初の2回だけは2本打つため、他の薬剤に比べて早くから痒み抑制効果が出やすいと言われています。

また治療をやめてしまった後の、他の薬剤との効果の比較ですが、デュピクセントはやめると40%の効果低下が見られ、アドトラーザはやめると35%の効果低下がみられるのに対し、イブグリースは15%の効果低下がみられるのみで、やめてしまったあともあまり効果が下がらないという大きな利点があることがわかっています。

副作用に関しては8.5%に結膜炎がみられるのみで他に大きな副反応もみられません。

小西先生によると、デュピクセントよりも、注射時に圧倒的にイブグリースの方が痛くない患者様が多いそうです。注射剤もペン型で針を見ないのでほとんどの方が大丈夫です。

各先生の印象としても、イブグリースは、
*やめた後も寛解維持している方が多い *顔の紅斑の残る方に効果がある *12歳以上に使用できる *通院注射ですが月1回でよいので利便性が良い *患者さんの自己負担額も月1回の場合一番低い
等の良い点が多く、今後のアトピー性皮膚炎の治療の主流になる可能性が高いと各先生がおっしゃっていました。

また患者様に情報提供を続けていきたいと思います。

 

昨日は数年ぶりに千葉大の同期テニス部の8人で飲み。皆大学に残ったり、教授になったり、基幹病院の部長になったりそれぞれですが、きちんとまじめに変わらず社会貢献していて、いつも会うと、まだまだ私も真面目に頑張ろう、という気持ちになります。
昨年見送った実父の人生の終わり方から学んだ感想を聞いてもらい、違う見方を教えてもらったり……久しぶりに会っても今の立場や環境の自慢や比較話にならずに楽に素を出せるんだろうと思ったら、医師になる前の、何者でもない学生時代を良く知る仲間だからだよ~と言われて納得。

仕事や子育て、親のこと。話は尽きませんが、昨夜同期にすすめられた"子育ての大誤解”という本を読んでみようと思います。ヒトの能力や性格は半分は遺伝あとの半分は環境といわれていますが、環境とは親の育て方でなくて同世代の仲間からの影響……というような内容のようですが、じっくり読んでみようと思います。

たまに会っても思ったことを言い合えて、意見しあって、ふざけて、でも同じ医師として今は刺激を受けて。大学時代の仲間は宝物で、そんな仲間と出会えて幸せだと改めて感じました。また明日から頑張ろう…っと。

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