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慢性蕁麻疹の治療について

先週の夏休み前にいただいた資料に慢性特発性蕁麻疹についての専門の先生方の講演がいくつかあり、休み中にゆっくりチェックしました。
(大阪医科薬科大学の福永先生、昭和大学の猪又先生、日本大学の葉山先生、島根大学の千貫先生)
特に誘因なく生じる特発性蕁麻疹の中には血管性浮腫(顔やまぶた、口唇が腫れる蕁麻疹)も含まれ、臨床症状も病態も様々です。

標準の治療である抗ヒスタミン剤の治療でコントロール不良の慢性蕁麻疹患者さんは60%もいると言われていて、ステップアップ治療が提唱されています。

まずは抗ヒスタミン剤2倍量増量、または2剤併用を試みます。次のステップは、さらに加えて胃薬で用いるヒスタミン2拮抗薬や抗ロイコトリエン薬を重ねます。それでも効果が乏しい場合は抗IgE抗体であるゾレア注射剤(オマリズマブ)へ変更もしくはプレドニン内服、シクロスポリン内服(保険外)内服というステップになります。最近はこれに加えてIL4/IL13阻害剤であるデュピクセント注射剤が蕁麻疹の適応にもなり、期待できる治療の一つになりました。

IL4はB細胞から産生されるIgEタイプの自己抗体やIgGタイプの自己抗体を誘導し、蕁麻疹の慢性化に関与することがわかっています。また、IL4/IL13は自己免疫性のシグナルの増強やかゆみ、そして浮腫などを起こします。
デュピクセントはIL4/IL13を抑制するため、これらの蕁麻疹の原因を直接抑え、IgEの働きを抑えるのではなくIgEの産生部分を抑えるため、葉山先生によると"蛇口から出てくる水を止めるのではなく、蛇口の元栓を閉める”イメージだそうです。

また、デュピクセントはアトピー性皮膚炎・気管支喘息・結節性痒疹・慢性副鼻腔炎にも適応がある薬なので、これらの疾患が合併している蕁麻疹患者さん、IgE高値の方には使いやすいと考えられています。また、事前にIgE値の採血が必要で通院注射が必要なゾレアと異なり、デュピクセントは事前の採血は必須ではなく自己注射が可能ですので患者さんにも負担が少ないと考えられます。

以前に比べると慢性蕁麻疹の治療も選択肢が増え、その分その方々それぞれに合った治療方法を的確に情報提供していく必要があると感じました。

夏休みも後半に入り、本日、高2の娘達の学校個人面談が二人分ありました。
付属校でもないため、話はどうしても大学受験の話です… 学校で受けた河合塾模試の結果を見せられて低ーい偏差値やら今後の残りの高2の進め方など、耳が痛ーい話を聞いてきました。結局のところ学校推薦は到底取れないし考えていません!一般受験で学科実力一本で頑張るしかないです、結局勉強やるしかないですよね……という話に。お二人ともご経験豊かな男性の先生である程度おおらかで細かくなく、私としては大助かりの面談でした。大学受験……長男のときの親も辛い苦しい受験期がまたやってくるかと思うと今から少し憂鬱です。でも、一般受験の苦しさを乗り越えるくらいの逞しさ、社会に出てこの先自分で生き抜いていかなければならない彼女達の今後の長い人生に必要だと思いながら、親として(あくまでも理想では)美しくスマートに支えてあげたい、と思いました。
娘たちの面談のあとにホームに入所している母の面会にいきました。昔から大好物のアイスを差し入れると子供のように目を輝かせて“食べたい!”と食べる母を見ながら、自分と娘達の将来の姿を重ねてしまい複雑な気持ちになります。私が娘達の将来を案じ考えるのと同じように、目の前の母も私や姉のことを考えてくれていたのだと思うと涙が出てきましたが、母の残りの人生が穏やかで幸せであるように、とにかく笑顔でまた面会にいきたいと思いました。

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