アトピー性皮膚炎の皮膚バリア障害の原因について
夏休みにデュピクセントやイブグリースなどの注射剤を開始したアトピー性皮膚炎のお子さん、学生さんが多くいらっしゃいますが、1~2か月経過した現在、痒みや紅斑、皮膚感染症のコントロールの成果が少しずつ出てきています。これらの注射剤は、アトピー性皮膚炎で低下がちな皮膚バリアを上げ、感染症の予防のみでなく、皮膚をもっちり肌に変えていくような効果があります。
アトピーにおいて皮膚バリア機能が障害される原因としては、遺伝的な要因・炎症や掻把による2次的な要因のほか、皮膚や腸内に常在する微生物コミュニティである“マイクロバイオーム”などが挙げられます。
医学雑誌“皮膚アレルギーフロンティア”に杉田和成先生(佐賀大学)・出原賢治先生(佐賀大学)・中島沙恵子先生(京都大学)の座談会が掲載されていました。
まず皮膚バリア機能障害の改善には、炎症をしっかり抑制しなければバリア機能は充分に回復しないことが分かっていますし、炎症・かゆみ・皮膚バリアそれぞれが密接に関わっていてどれか1つを良くしても長期に良い状態を保てないようです。
この3つ=かゆみ・炎症・皮膚バリアをどう治療していくか、それぞれの患者さんごとにどれを主に抑えていくか、その方その方の特徴をつかみ、指標となるバイオマーカーが少しずつ増えてきています。
アトピー性皮膚炎の病勢を示すマーカーとしては、好酸球数・LDH値・TARC(タルク)値・SCCA2(squamous cell carcinoma antigen 2)値が挙げられ、さらに、“ペリオスチン”はアトピー性皮膚炎の知覚神経に作用して痒みを引き起こすバイオマーカーが最近判明しています。それらを指標にしながら、個別にカスタマイズされた治療方法を組み合わせていく、オーダーメイド治療が今後将来考えられていくものと考えられます。
また、アトピー性皮膚炎の皮膚に生着する黄色ブドウ球菌が増殖すると、皮膚バリア障害を引き起こしたうえ、皮膚Th2の免疫誘導が行われ皮膚炎症を悪化させることが分かっています。
松岡悠美先生(大阪大学)の論文によると日本人乳児の頬の皮膚における実験にて、生後1か月の乳児(1歳児のアトピー発症有無に関わらず)の約45%に黄色ブドウ球菌の定着を認められ、また、生後6か月の乳児の黄色ブドウ球菌の皮膚定着が認められるとアトピーの発症リスクが顕著に高まったというデータがあります。このことから、もともと存在する黄色ブドウ球菌が何らかの要因で排除されるとアトピーは発症しにくく、逆に黄色ブドウ球菌の病原性が保持されると、ブドウ球菌が定着しアトピー発症を引き起こすことが予想されています。
今後、アトピー性皮膚炎の治療の1つの選択肢として、黄色ブドウ球菌のアトピー性の皮膚に対する病原性を低下させるような治療の研究がすすめられることも期待されます。
同じアトピー性皮膚炎において、同じ治療を行っても効果の高い方と効果の低い方がいるのが事実ですが、アトピー皮膚炎の多様性を考えると仕方ないとも思われます。今後はその方その方のバイオマーカーや指標をもとに、アトピー性皮膚炎患者さんの膨大なデータに基付く治療の可能性も面白いと思いました。
デュピクセントやイブグリースなど皮膚バリアも改善する治療法も外来でできるようになり、選択肢はかなりこの数年で増えてきました。
注射剤や外用薬・内服薬も現在でもその方その方に合わせたオーダーメイドで医師の経験をもとに行っていますが、今後はさらにそれに加えてデータベースをもとに治療法を判断するような時代がくるのかもしれません。
秋になり高2の娘たちの塾も増え、その後の食事や図書館へのお迎え(過保護?)などで毎週があっという間に過ぎていきます。本当に大学受験は本人たち次第で、いくらママ高2の秋は既にめちゃくちゃ勉強してたよ、と言っても全く響かず~。本当に苦労します。比べても仕方ないですが長男の時とは違い本人たちに任せきれない不安感がありますが……。まあ下の子たちって、そんなものですね。
私も今年は真面目に講演会や学会で勉強してその姿を見せていくしかないとも思います。
バレエエクササイズとバイクエクササイズの運動と、食物繊維タンパク質を心掛けた食事と、睡眠と、勉強と、今年残り数か月を健康に過ごしていきたいと思います。
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